他の動物にはできない俯瞰する能力が人間にのみ備わっているとするならば、
その力を有する人間も限られていると言える。
だから、いくら言っても意識できない人が存在することも知っておきべきだ。
そして運よく俯瞰を意識できるなら、その力を育てることは大変重要だ。
ポジティブな省察
プラモデルなどでジオラマを作るという趣味があります。
あのジオラマのようなものを、
自分の生活と照らし合わせて立体的に想像してみましょう。
もちろん実際の絵を描くのもいいかも知れません。
自分の楽しかった瞬間、
苦しかった瞬間、
自分の一番生きていると感じた瞬間を俯瞰した感じで想像して、映像化するのです。
自分の生の俯瞰。
もしかしたら、縄文人の埴輪を使ったお墓は、
その死者の幸せな瞬間、
もしくは一番その人らしい瞬間を再現した遺影のようなものだったのかも知れません。
私たちは自分でその瞬間をイメージすることで、
自分を俯瞰し、自分が何たるかを理解することができます。
自分ジオラマ作りや絵を描く行為は、
自分の経験や記憶を客観的に見つめ直す素晴らしい手段です。
自分の人生を一つの作品として捉え、
その中の重要な瞬間や転換点を可視化することで、
自己理解が深まるだけでなく、
自分自身の価値や存在意義についても考えさせられます。
このような俯瞰的視点を持つことは、
ただの想像力の問題ではなく、深い自己省察につながります。
省察とは、起きた結果から未来に自分がどう改善できるかを考察する行為です。
つまり、未来に向かってポジティブに進むための行為です。
人生の中で起こった出来事や選択が自分にどのような影響を与えたのか、
それらを整理し理解することで、
今後の人生にどう生かしていくかのヒントを得ることができます。
よく似た言葉に反省があります。
反省は過去を振り返って、立ち返る「過去視点」が先立つとされます。
大変よく似たニュアンスですが、
省察はポジティブ、つまり失敗する方法が発見できた!
反省はネガティブ、つまり何故こうなった、次は失敗しない!
と若干の違いが見られます。
また、自分の人生をジオラマのように俯瞰することは、
人生のあらゆる経験が自分を形成する大切な要素であることを思い出させてくれます。
自分にとって大切な人が
あなたのジオラマにどれくらいの距離で、どんな顔をしているのか、
もしくは出てこない友人知人もいるでしょう。
それらを整理するのです。
季節ごとに想像するのもいいですし、
年単位で想像するのも大変有意義な時間です。
楽しかった瞬間も苦しかった瞬間も、
すべてが自分という存在をリアルにし、未来を豊かにする材料です。
その全体像を把握することで、
自分自身を内面も俯瞰の視点からも見る事ができる、
唯一無二のキャラとして、より深く愛することができるようになります。
俯瞰する力を育てることは、
自分の内面と向き合い、成長するための重要なプロセスです。
それによって、人生のさまざまな局面で柔軟に対応し、
未来へ向かって意味ある選択をしていく力が養われます。
自分の人生を俯瞰してみることは、時には勇気が必要ですが、
その結果として得られる自己認識と充実感は、計り知れない可能性が秘められています。