自分育て

「麋角解 (さわしかのつのおつる)」#15

2022年12月27日、
冬4番目の節気「冬至」
次候の「麋角解 (さわしかのつのおつる)」になりました。

24個の節気の中の1番目「冬至」
72個の候の中の2番目「麋角解」

麋角解 (さわしかのつのおつる)

ここに出てくる麋は日本にいる鹿でなく、
中国特有の大型の麋で、
おおじか、なれしかと読みます。
現在は絶滅危惧種の鹿です。

姿は鹿と牛が混ざったような
北米のヘラジカなどに似た種です。

この麋は普段はオスとメスは分かれて生活します。
丁度、人間の男子校、女子校のような状況です。
しかし、春になると繁殖期を迎え、
凄まじい低音でメスを求めて鳴くと言います。

麋のオスにとって、
これは天敵に見つかりやすい一番危険な行為です。
しかし、麋は「生の輝き」を誇示するように叫ぶのです。

その繁殖期に入っていく準備段階が、
オスの麋の角が生え変わる時期、
麋角解 (さわしかのつのおつる)になります。

尊厳

麋はこの為、天敵にも、
人間にも見つかりやすいのです。
そのせいで絶滅危惧種、もしくはすでに絶滅してしまった種もいます。

大きな身体は肉食動物にとって胃袋を満たす十分な獲物ですし、
立派な毛皮は人間にとっても魅力的です。

もし、麋が大人しくしていたら、
狙われる危険性は随分減ったことでしょう。

しかし、麋は自分の欲するままに、
重低音でメスを呼ぶのです。

私たちは「出る杭は打たれる」という精神に縛られて、
大事な時にも自分を主張しないことがあります。

ただ、それで「尊厳ある生き方」ができるでしょうか?
目立たないように、
自分のやりたいことも隠して生きる。
それは果たして生きていると言えるのでしょうか?

やはり目標を持って、
やりたい事を確認して、行動を起こすと言うのは大事な事です。

また、こういう解釈も出来ます。
「麋の古い角が落ち」と言うのは、長年勤めた会社を退社し、
そうして新しい角が生え出す時期と言うのは、第二の人生が始まる。
麋角解 (さわしかのつのおつる)を一年単位の周期ではなく、
もっと大きな周期で考えると、そんな解釈もできるかと思います。
そう考えると、これからセカンドライフを迎える方への
強いメッセージとも取れますね。

さぁ、私たちも今年頑張るために築いた角を落とし、
自分の新しい角が生えてくるのを、
しっかり意識しようではありませんか。
そして、来るべき時には夢の実現の為、
心の叫びを放ちましょう。

次回は2023年1月1日、
「冬至」の次候「雪下出麦 (ゆきわたりてむぎのびる)」です。