2023年3月16日
春三番目の節気「啓蟄」の
末候「菜虫化蝶 (なむしちょうとけす)」になりました。
24個の節気の中の6番目「啓蟄」
72個の候の中の18番目「菜虫化蝶 (なむしちょうとけす)」
※こちらの何番目という順序は古来の正月「冬至」を起点に考えております。
ご了承くださいませ。
「菜虫化蝶 (なむしちょうとけす)」
菜虫とはモンシロチョウの幼虫の事で、
この幼虫が蛹を経て、
蝶になる頃です。
蝶がひらひらと舞い出すと、
一層春という感じがしますね。
菜虫
菜の種類の葉を食べる虫は意外に少ないようです。
モンシロチョウの幼虫以外には
僅かにカメムシがいるくらいで、
実は菜という種類の植物は毒性が強く、
食べる虫はほとんどいないようです。
しかし、人間は自分が食べるために育てるので、
キャベツなどを食い荒らす青虫やカメムシをとても嫌います。
共生
では実際食べられてしまう菜は、
自分を食べる青虫をどう思ってるのでしょうか?
実はこの両者は人類が登場するよりも前から持ちつ持たれつで、
共存共栄の間柄だったようです。
蝶は卵を餌になる菜に産みつけます。
そして、卵は孵ると菜のはをせっせと食べ、
フンを落とします。
そのフンには集められたリンなどの栄養が
また菜の成長を促します。
青虫は蝶になると、
菜の花の蜜を吸い、
その行動で受粉が促されます。
なので、
本来この両者の間には害虫と言う概念はなく、
お互い生の営みを助け合う共栄共存の関係なのです。
なので害虫というのは人間が勝手に自分の都合で判断しているに過ぎません。
そう考えると、
私たちの普段の生活の中でも、
誰かの都合や一方的な解釈で
害とみなしているものがあるのではないでしょうか?
成功も失敗も今の価値基準だけ
現代は何事においても先を見越して行動します。
例えば、何処かに行こうとする時、
行き方を調べるし、
どんなものがあるのかも下調べします。
そのお陰で新鮮さも無くなり、
感動も薄れているように思います。
貴重な時間を無駄にしたくない気持ちは分かりますが、
どの時間も有意義にと思いすぎると、
計算ばかりで偶然の喜びも
一瞬の煌めきの時間も失われていくように思います。
なので、
全てがバランスが取れている共栄共存だと、
静かに受け入れるのも良いのではないかと感じます。
判断せずに
静かに眺める。
ワシワシと菜を食べる幼虫
ひらひらと花の周りを舞う蝶を
そんな気持ちで眺めに行こうと思います。
次回は2023年3月21日6時24分、
春四番目の節気「春分」
初候「雀始巣 (すずめはじめてすくう)」です。