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「立夏(りっか)」初候「蛙始鳴 (かわずはじめてなく)」#41

2023年5月6日3時19分 、
夏最初の節気「立夏」の
初候 蛙始鳴(かわずはじめてなく)になりました。

24個の節気の中の10番目「立夏」
72個の候の中の28番目 蛙始鳴(かわずはじめてなく)

※こちらの何番目という順序は古来の正月「冬至」を起点に考えております。
ご了承くださいませ。

立夏

暦上ではこの日から夏となります。
日本ではゴールデンウィークの終わり頃に「立夏」となります。

人々がさまざまな観光地へ向かったり、
河川敷などでバーベキューを楽しんだりと、
アウトドアで過ごすことが増えます。

まさに夏というドラマティックな季節の幕開けであり、
新緑や暖かい南風がこれから始まる夏の物語への期待感を煽ってくれます。

青天の日も多く、
自然界も活気づき始める。
小鳥たちのさえずりが賑やかになり、
花々が次々と咲き始める。

食品売り場では鮮やかに色づいた夏野菜が並び、
自然と心もウキウキし、
活気に溢れる季節です。

蛙始鳴(かわずはじめてなく)

立夏の初候は
蛙始鳴(かわずはじめてなく)です。

この時期、
蛙たちが夏の訪れを告げるかのように鳴き始めます。
春の名残りを感じさせる柔らかな風が吹き、
夏の暑さが徐々に訪れる兆しを見せ始めるころです。

鳴き始めた蛙たちの声は、
まるで自然界のオーケストラのよう。
彼らの歌は、夏の到来を祝福し、
新しい生命の誕生を讃えるかのよう。
その甘い調べに耳を傾けると、
どういうわけか懐かしい気持ちで一杯になります。

蛙たちのコンサートは、
これからの季節を彩るさまざまなドラマの幕開けでもあります。
樹々が芽吹き、花々が咲き誇り、鳥たちがさえずる。
そんな中、蛙たちは水辺で恋をし、卵を産み、
次世代へとバトンを繋いでいくのです。

蛙は生まれた時は水の中で過ごしますが、
脚と腕が生えてきてカエルになると色んなところに移動します。

しかし、繁殖は必ず自分が産まれた場所に帰ってきて繁殖すると言います。
ちょうど、鮭と同じですね。
その習性から「帰る」→「カエル」となったようで、
旅先から無事帰る、
お金が返る、
病後健康に回復するなど、
縁起の良い動物とされました。

ところでカエルの漢字は虫編に「圭」と書きます。
同じく生まれ故郷に帰る鮭は魚編に「圭」と書きます。

この二つの別の生き物が
生まれ故郷に帰る性質を持ち、
また「圭」の字が使われている点が気になるところです。

さて「圭」は土二つの文字のように見えますが、
実は玉を表しており、ある種の宝物で、
昔の中国の王様が領土を与えた時の印的なアイテムだったそうです。

また、それ以外にも、
「突出した才能」を表したり、
「形が綺麗なもの」を表しているそうです。

そして、縦と横の線がバランスよく整っている「製図」という意味もあるようです。
古く中国では、日時計とかコンパスの事を「土圭」と言ったそうです。
ここは私の個人的な見解なので、
保証はできないのですが、
もしかしたら蛙と鮭は正確な磁石のようなものを能力として持っていて、
この正確さから「圭」が付いたのではと思うのです。

ただし、「鮭」に関しては比較的最近になってから漢字が当てられたようです。
なので古くからこの特殊な能力で
馴染み深いのが縁起動物が「蛙」なのでしょう。

土圭

土圭とは昔の日時計で時計の原型のようなものです。
土に棒(玉)を刺して、
太陽の影の長さで季節や時間を把握していたことから、
「土圭」となりました。
中国から伝わった際に発音は「「どけい」とか「とけい」でした。
そして、江戸時代ごろになってわかりやすい「時計」という漢字が当てられたようです。

蛙はある種の「土圭」を持っており、
正確な習性から縁起動物になったのでしょう。
道に迷った猿田彦がカエルに道案内をしてもらうという話が
日本書紀に登場することからも納得できます。

さて、カエルは私たちに何を伝えようとしてくれているのでしょうか?
暑い夏を乗り切るには、
まずは生活のリズム、バランスの取れた食生活、
充実した睡眠、そして適度な運動、
これらは蛙が持つ「土圭」の習性が鍵となるように思うのです。

この「蛙始鳴」の時期には、
まさに生命の息吹が溢れています。
蛙たちの歌声に耳を傾けることで、
私たちもそのドラマティックな物語に参加していると実感が湧き、
日々、リズムある生活を送れるように思うのです。

だからこそ、蛙たちの歌声に耳を澄ませ、
自然とのつながりを感じる瞬間を大切にしたいですね。
さぁ、夏の訪れとともに、
蛙たちが奏でる自然界のシンフォニーを心ゆくまで楽しみましょう!

次回は2023年5月10日、
夏最初の節気「立夏」の
次候 蚯蚓出 (きゅういんいずる)」です。