2023年6月21日23時58分 、
夏4番目の節気「夏至」の
初候 「乃東枯(ないとうかるる)」になりました。
(なつかれくさかるる)とも読みます。
24個の節気の中の13番目「夏至」
72個の候の中の37番目 乃東枯(ないとうかるる)
※こちらの何番目という順序は古来の正月「冬至」を起点に考えております。
ご了承くださいませ。
夏至
北半球では、
太陽の位置が最も高い一日であり、
これが一年で最も日が長い日となります。
夏至は夏の中心であり、大地が豊穣を迎え、
地球に降り注ぐ太陽のエネルギーが頂点に達する時期でもあります。
古代の人々は、この季節には神々への感謝の意を表す祭りを行いました。
その理由として、この時期は作物の成長が頂点に達し、
また自然の生命力が最も強く感じられるからです。
太陽を神と崇めた文明では、
夏至は太陽神が最も強く、最も長い時間輝くため、
光と生命の象徴として崇めてきました。
夏至には、
古代の祭りや祝う風習が今でも残っています。
北欧の国々では「ミッドサマー」と呼ばれる祭りがあります。
「ミッドサマー」とはまさに夏のど真ん中であり、
日本の節気としての夏至とも一致します。
ノルウェーやフィンランド、アイスランド、グリーンランド、カナダ北部、ロシア北部、
アラスカなどの北極圏に位置する国々では、
夏至の頃は一日中陽が沈みません。
しかも長い場所では二ヶ月以上もの間、太陽が沈まないのです。
いわゆる白夜という現象です。
その白夜の真っ只中となる、
夏至の一日を寝ずにお祭り騒ぎをするようです。
自然現象を祝う素晴らしい習慣ですね!
夏至は古代から現代に至るまで、
人々にとって重要な意味を持つ時期であったことがわかります。
夏至は、太陽の力が最も強大になる瞬間。
その後は日々少しずつ太陽の力が弱まり、
冬至に向かっていくドラマティックな分岐点です。
この連続の自然のサイクルは、
始まりと終わり、
終わりと始まりが連続している事を教えてくれています。
乃東枯(なつかれくさかるる)
夏至の初候は「乃東枯(なつかれくさかるる)」です。
日本の6月のこの時期、
「もう夏も折り返し!」などと言うと、
何言ってるだ?
と二度見されるでしょう。
確かに暑さはこれからですが、
自然界は暑さよりも日照時間で様々な生き物が行動のタイミングを計っています。
植物はもちろん、
渡り鳥なども日照時間で飛来の時期を決めると言います。
乃東枯(なつかれくさかるる)の主人公「夏枯草」は
冬の最中に芽吹き始めます。
その為、冬至の初候は「乃東生(なつかれくさしょうず)」で、
夏至の初候の「乃東枯(なつかれくさかるる)」のちょうど正反対に位置します。
これら二つの気候は、夏と冬のそれぞれの最高点に位置し、
一年の自然のサイクルを象徴しています。
一見すると、夏至に「夏枯草」が枯れ、
冬至に芽吹き始めるというのは逆のように思えますが、
これは生物の生命サイクルと地球の自然サイクルの本質をついているように思います。
「つまり陰極まれば陽と転じ、陽極まれば陰と転ず。」
とても哲学的な考えですね。
般若心経の「空即是色 色即是空」はこの自然現象の本質に迫ったようにも思えます。
私たちがついつい忘れがちな、
「極まれば転ずる」という原則は、
自然界の一部である私たちの生活の中に深く根付いています。
それは人間の体調や感情、さらには社会や経済の動向にも当てはまります。
活動が頂点に達したとき、それは新たな段階への転換点なのです。
「夜明けの来ない夜はない」が冬至の「乃東生(なつかれくさしょうず)だとすれば、
「夜の来ない昼はない」が夏至の「乃東枯(なつかれくさかるる)」とも言えます。
そう考えれば、
自然が私たちに、変化の始まりを優しく静かに伝えてくれているようなものです。
私たちが毎日の生活の中で見落としがちな自然のサイクルや変化を、
二十四節気七十二候は教えてくれます。
私たちはこれらのメッセージを謙虚に受け取り、
自分自身の感情や活動、生活に適用することで、
より調和のとれた、自然のリズムに沿った生活を送ることができるでしょう。
次回は2023年6月26日、
夏4番目の節気「夏至」の
次候 菖蒲華 (あやめはなさく)」です。