千里中央再開発

昭和44年の千里ニュータウン

昭和44年、千里ニュータウンはいよいよ完成間近!
南千里駅の改良、桃山台スポーツセンター、千里中央地区センターの日本初の地域冷暖房導入など街は大きく進化。
万博を控えた熱気の中で、社会問題も浮上。
洗濯物論争、食品偽装、団地の防犯対策…。
さらに「万国山田町」騒動や自治体招待券問題など、万博関連の波乱も!
未来都市の光と影を描く、昭和44年の千里を振り返ります。

1. 新年・まちの発展(1月〜春)

昭和44年1月1日 新年の挨拶に豊中市町登場

これまで中面でしか登場していなかった豊中市長が吹田市長と横並びで挨拶。
大阪府の天下りを厳しく指摘した「千里タイムス」大阪府知事登場せず。
別新聞『ニュータウン』紙では大阪府知事がトップでその下に吹田豊中両市長というデザインで掲載。このピラミッド感がいかにも政治家らしくて良い。

南千里駅模様替え ホーム延長 阪急協力を受諾

南千里駅のホームが現在より南側に位置し、南センタービルと駅が離れていた。
これを繋げることで駅と駅ビルが一体となる。千里開発センターが協力を要請していたが、このほど阪急が受託。近く着工。十月完成予定。改札口全体が北側へ移ることに。
その為北に位置する津雲台は便利になるが、南側の佐竹台は不便に。

広告に舶来の文字踊る

万博に向けて海外への関心が高まる。その盛り上がりが随所に見られる。

オーストラリアフードフェア開催

北と南のオアシスで。
マトン100グラム40円。ゴーダチーズ123円。その他ワイン、チーズ、パルメザンチーズ、鮑の缶詰など見慣れないものが販売。
ゴーダチーズ男のチーズのコピーが笑える。

同時に映画上映会実施。

  1. 「オーストラリアの旅路」
  2. 「オーストラリア紹介」
  3. 「おそ松くん」

古江台幼稚園 園児抽選漏れ47名

前年ようやく幼稚園全員入園を果たすも、人口増加についていけず今春の入園は抽選に。
無念にも47名が入園ならず。『またか…』と落胆する父兄も多く、行政の対応に不満の声が上がる。

🌟 2. 商業・インフラの進化(春〜夏)

北センター増設分 いよいよ開店

北千里のショッピングセンター増設分が2ヶ月以上遅れでオープン。
ショップ希望者161名。
手芸用品、和洋菓子、パン、喫茶・軽食店、美容室、高級果物、化粧品、うどん、寿司、
和食、金融、園芸、クリーニング、皮革製品、呉服、文房具、本屋、靴、スポーツ用品、
帽子、喫煙用品、輸入雑貨、などが応募。

住民へ希望店舗のアンケートによると
1位、手芸用品がダントツ。2位以下、靴、園芸、喫茶、スポーツ用品と続いた。
その他の業種として配送受付業は面白いとして、囲碁将棋店が応募。これは経営が成り立つのか心配と書かれている。
その他、書家店、工芸品、健康相談所、こちらも心配。

入店決定は抽選でなく、バランスを見て企業局が選定。北千里のみなさん、どうかご安心を。

日本初の地域冷暖房 中央地区センター(近未来都市の象徴)

冷熱エネルギー供給、大阪ガスが一カ所で生産。
欧米では一世紀もの歴史があるも日本ではほとんど知られていない低コストシステム。
この程大阪ガスにより世界最先端の技術システム開発。千里の中央地区センターでスタート。安くなる電気代、ガス代、そして徹底した公害防止対策に世界も注目。

これまでビルの集合店舗一軒一軒が冷暖房、温水システムに個別で対応。その為、ボイラーやガスタービンなどバラバラで設置、トータルで無駄が多く、しかも危険があった。
この度のシステムはコンピューター制御によるエネルギープラント。屋上はグリーンタワーに。

千里中央地区センター 入店業者決まる

一部抜粋

  • 喫茶・・・・・豊田アストリア
  • 洋食・・・・・オリムピック
  • 洋菓子・・・・不二家、ゴンチャロフ、ヒロタ
  • パン・・・・・神戸屋

その他、宇治茶、海苔の山形屋、かねてつ、カメラのナニワ商会、とよすあられ、
クリーニング白洋社、田村書店、ミズノスポーツ。
この他にも一流店の選定に苦労した千里開発センターは最終的に同業種抽選とした。万国博も相まって約束された繁栄と締めくくられている。

阪急豊津駅再開発着工

この界隈では最も栄えていた豊津村。今では少し影が薄い。
南千里、北千里に負けじと再開発計画スタート。
また、ニュータウンの公園の素晴らしさに後押しされる形で江坂公園近く着工。公費2600万円。千里ニュータウンだけでなく近隣地域も活性化。

竹見台と南センター握手 竹見台と南センター高架でつながる

阪急のホーム延長で一体化する南センターと竹見台が歩道橋で繋がる。
50メートルの横断歩道に日々不安の年配者。危惧なくなる。

南センター阪急ホーム延長反故 そんな話もありましたねー

年始の新聞紙上で南センタービルと南千里駅を直結する為にホーム延長、阪急受託と掲載され完成は年末とこの事でした。しかし6月になっても着工しない阪急側に企業局が問い合わせると、
「あー、そんな話もありましたねー。」と阪急。それでは話が違うと対立。

同じく北千里駅、北センタービルの南側に歩道橋を設置。北千里駅を利用する藤白台住民の近道になると予想されていたが阪急サイドは南側に改札は作らないと発表。
「企業局が阪急に『何故南側に改札を作らないのか?』と問うと、阪急側は『皆さん世界初の自動改札機を見たいし、使いたいでしょうから…』と回答。企業局は呆れるも、それ以上追及できなかった。」

101歳の井川米丸さん老人代表で玉串奉還

千里ニュータウン初の老人センター起工式の奉還に井川さん、山本市長、大富企業局長、市議と続いた。

桃山台6丁目に6千坪のスポーツセンター(スポーツブーム)

桃山台駅西南側にレストハウスと2カ所のレストコーナー、シャワー室も完備のスポーツセンター来春までに完成。野球グラウンド、野外ステージ、テニスコート、バレーコート、ローラースケート場、ミニチュアゴルフ場、パーキングなど充実した施設。

当時はスポーツ&レジャーの夢が詰まった施設として期待されていたと思われますが、
50年後の現在、野外ステージ、バレーコート、ローラースケート場、は無くなっており。
ミニチュアゴルフ場に至っては葬儀屋さんに変わっております。人生の終着点を迎える場所の役割を果たしたと言える。ナイスイン。

増えるバスオールに銭湯悲鳴(住宅事情の変化)

家庭内に設置でき、いつでも入浴出来るバスオールが大人気。
設置過程が増えるにつれ銭湯の客が減り、この程銭湯経営者が大阪企業局に抗議した。
そこで戦闘経営陣を納得させる為、各住区でアンケート調査実施。

バスオールを買った方、また今後購入予定の方からの先頭の問題点

  1. 問題はなかったが、バスオールを購入後毎日いつでも入れる
  2. 銭湯はいつも混雑している
  3. 銭湯がそもそも汚い
  4. 遠い。夏は入浴後汗だく帰宅、冬は冬で凍えて帰宅
  5. 子供が増えて

その他、蚊が多い。ガラスが薄くてちょっとの事で割れて大怪我をした。サービスも態度も悪い。など、企業局に泣きつく前に銭湯よ努力しろと書かれている。
そもそも、企業局が『これから団地が増えて、銭湯の需要は増えますよ』と甘い言葉を囁いたことで、銭湯経営者たちは重い腰を上げて開業。しかしバスオールが普及し、客足は減少。『企業局の言葉を信じたのに…』と、銭湯経営者たちは抗議に動いたのだった。」

夢の電子レンジ 20万円を切る(家庭生活の革新)

かつて一部の高級ホテルなどの限られた電気製品「電子レンジ」
とうとう15万円を切って家庭で持つのも夢でなくなった。
いかに電子レンジが素晴らしいと分かっていても一般家庭には高嶺の花だった。この程テレビの価格帯に近い15万円を切ったのと、家庭で使える100V用タイプが開発された事で敷居が低くなった。
電気店で夫婦が「そろそろテレビ買おうか?」「っそれなら電子レンジにしてよ!」という会話が多くなったとの事。

電子レンジ講習会花盛り
白衣の講師が濡れたほうれん草をラップに包み電子レンジに入れてタイマーを2分に合わせる。「チーン」、程よく茹で上がったほうれん草の湯気。主婦からは感嘆のため息が漏れ、その湯気と重なるようだった。
その後、蒸し豚400グラムを16分で調理するとあまりの速さに今度は黄色い歓声が上がった。

3. レジャー・娯楽(初夏)

春休みおもちゃバーゲン開催(消費ブーム)

北と南に楽しいオアシスが4月5日、6日、7日と子供を煽るおもちゃセールを敢行。

  • 乗用トヨタセブン(550円)・・・・・440円
  • シール動物各種(900円)・・・・・・500円
  • 電池宇宙飛行船(740円)・・・・・・320円
  • ゼンマイタンク(480円)・・・・・・300円
  • 特大ビニール動物(550円)・・・・・320円
  • 台付電話(150円)・・・・・・・・・100円

’69子供カーニバル開催 一日の入場5万人

千里南公園を三区画に分け開催

第一会場・・・模型飛行機大会、のど自慢大会、フォークダンス
第二会場・・・人形劇、紙芝居、関大ブラスバンドとクマ、トラ、ライオン着ぐるみ大行進
第三会場・・・マス釣り大会、釣ったマスのBBQ大会。その他、宝塚歌劇団、阪急少年音楽隊、大阪府警察音楽隊による楽団演奏会。

その他、会場全体が露天で囲われる。
当日は大阪府知事の挨拶の後、千里南公園にヘリコプターが降り立ち、花束贈呈予定。

当日の実際の様子は
あまりの群衆にヘリコプター着陸は危険と判断。上空から府知事に向かって投げ落とす。
101歳の井川さんも元気に参加。100歳若返ったと笑顔。
庄司照江、花江さんも漫才で盛り上げた。
楽しかったカーニバル。来年もまたね!
この来年もまたね!は「万国博に向けて」

超満員の特需で南センター専門店街ホクホク。オープン以来の初の満員。
各店主は「毎日これならなぁ…」とため息。

河合音楽教室開催(習い事ブーム)

千里ニュータウン各住区に音楽教室が出来た。

【オルガン科】
入学金:500円
授業料:1,200円
教材費:1,400円(入学時のみ)

【ピアノ科】
入学金:500円
授業料:1,800円
教材費:実費

その結果、千里ニュータウン地区音楽人口増える

プラモデルグランプリ日本一決定戦 千里南公園で開催 全国から165人参加(ホビー文化)

北は北海道、南は九州まで全角各地で開催のプラ模型グランプリ予選大会で技を競い待ち抜いた165名の小・中学生が千里ニュータウンに集結。
東洋一の景勝市街地「千里ニュータウン南公園」に設営された会場で5種目に分けられた競技が争われた。
12時半、大阪市消防音楽隊のブラスバンドが開幕を祝福。ドラム音が牛ヶ首池の樹木にこだま。

来年70年代に入りルアー釣りブームの予感(アウトドア人気)

既にご存知の方もいるかも知れないが、来年迎える70年代はルアー釣りが全盛を迎えるだろう。スポーティー、スマート、エサの心配がないこの釣りはまさに未来的な釣り。
とは言え、日本ではテンカラや渓流の毛針、海釣りのスッテやダマシが古くから使われています。これらをルアーとするならば日本には実は馴染みの深い釣りである。
ただ、これらをまとめたルアーには形や釣りのスタイルが様々で何がどうやって釣れるのかが決め手がなく、だからこそこれから開拓していく楽しみがあります。
わからないけど絶対に釣れるという確信がこの「ルアーブーム到来の予感」になっている次第です。
「こう予想を語ったのは、意外にも大阪市内の診療所の先生。釣りとは無関係に思える立場の人が、このように冷静に未来を予測していたのは驚きだ。」

北千里で「スキーの夕べ」映画上映会開催(娯楽)

ウインタースポーツシーズン到来に先駆け、11月22日北千里センタービル3階第ホールで「スキーの夕べ」が開催されます。
上映プログラム

  1. 小島正雄のスキーは楽し、永遠に
  2. 三谷プロスキーヤーの上達ポイント
  3. 札幌五輪への道
  4. 雪の想い出(白馬山麓)
  5. 野沢温泉スキー
  6. スノーアンドメイト(雪の仲間たち)
  7. 70年スキーショー

「おそ松くん」は、、、、ない。残念。

4. 万博関連・社会の変化(夏〜秋)

万博ここまで進んでます

外周道路、お祭り広場、ソ連館、カナダ館、電信電話局館など写真で紹介。
「当時の写真を見ても明確な記載がないが、位置的に考えると現在の千里中央駅と新千里西町を渡す千里橋と思われる。」
とにかく1年以上前からパビリオン建設、周辺地域の仕上がり状況が見られてワクワク感が伝わってくる。

アフガニスタン国王来日 万博会場に驚きの声

アフガニスタン国王、天皇陛下のお招きで来日。
東京、京都、奈良と観光するも最大の目的は自国の万国博パビリオンの建設状況と、アフガニスタン都市計画促進の為の千里ニュータウン視察。「タイトルは万国博会場に驚きの声」となっているが実際は広がる丘陵地帯を切り開き、わずか8年で戦前と立ち並ぶ住居と美しい道路に感嘆し、視察の時間も多く費やされた。

思いがけない万博公害 全国自治体への万博招待券が問題に(万博の影響)

2000万円の税金投入。吹田行政に暗雲。
北海道から九州まで各都道府県の自治体を招待する予算を組んでいることが明るみになりスクープ記事。何故、税金で別の自治体の役人を接待せねばならないのかと掲載。
万博の宣伝として各自治体の代表を招くのは有意義では?という声もあるが、税金の使い道として妥当かどうかの議論は続いた。

私見・・・各自治体の住民が万国博に来て吹田にお金を落とす。それなら宣伝大使として役人をなめくのは当たり前ではなかろうか?

万国博対策2つの不安 不法駐車、キャンプ族(社会問題)

津雲台自治会、吹田市、吹田警察と話し合い。

  1. 全国から押し寄せる人でキャンプ村化の懸念
  2. 不法駐車が近隣全域に及ぶ不安

吹田警察山本署長は「地域住民には迷惑はかけない!」と言うが、すでに大阪市内のホテルは予約もパンク状態。本当かと危惧する声。
千里中央公園や千里南公園などキャンプにピッタリの緑の場所を立ち入り禁止にするのではなく、むしろどこか1カ所にキャンプ村を作った方が良いのではと言う指摘も。

宙に浮いた「万博山田町」

万国博が開催される吹田市山田町、この程景気付けに町名を変えようと公募を行ったところ全国から6千通の応募がありました。協議の結果「万博山田町」に決定。
しかし公募で決まったとは言え、議会にかけて裁決を取ろうという議員もあり混乱。
ここで山本市長が「万博山田町」は相応しくないと市長の立場を捨てて私見を述べる。
「それでは全国からの6千通もの応募者を裏切ることになる!」と反論。特に公明党の太田議員は市長の進退問題レベルと糾弾。
兎にも角にも山本市長は「万博山田町」を白紙に戻して再審査求める。
揉めた理由の第一要素は

  1. 公募町名決定をすでに打ち出していた事
  2. 入選者に空いた市長賞授与
  3. 副賞として賞品も用意

これらを発表しての公募だったから、今更取り消しはアカンやろうとの事。
しかし、当の吹田市長は全く知らなかったと言う。

「吹田市長はまったく知らなかったというが、市の一大イベントである万博関連の公募を、市長に確認せず進めていたということになる。もしそうなら、行政内部の連携不足が露呈した形だ。」

万国博西口起工式

6月、万国博の入場者数は3000万人が見込まれる。一日平均26万人。
鉄道によるメインゲートは同駅と予想。一日14万人の利用客に対応すべき予定で起工式。
南千里駅より2.2キロ、万国博西口ゲートより200メートル。万国博終了後撤去。

万博への足 全路線完成

大阪市営地下鉄江坂駅から「万国博会場駅」を結ぶ「万国博会場線」の試運転がもう直ぐ始まる。万国博開催期間は梅田から万博までを27分で運び、終了後途中駅の「千里中央駅」は千里中央地区センターに引き込まれ、天王寺、難波、梅田〜千里ニュータウンを結ぶ大動脈になる見込み。
そして実は、桃山台駅は当初の計画にはなかった。しかし、万博輸送のための車両基地を作る必要があったことで、突貫工事で駅が追加されることになった。
これにより、桃山台は“計画外の駅”として急遽誕生することとなった。
これに沸くのが桃山台住民という訳。かねがね吹田側ニュータウンで最も遅れていると言われていた桃山台住区。そこに驚きの駅誕生に活気付くのではないかと多方面が期待。遅れていた分閑静でありながら便利という一躍人気の住区になると鼻息荒い千里開発センター。それもその筈未開発の土地を持っている為。

5. 事件・社会問題(秋〜冬)

御難続きのニュータウン 水死、転落死など(事件・事故)

3月15日、牛ヶ首池で幼児3歳がハマって溺死。
3月14日、桃山台で火事
3月16日、嫁が亡くなって、三人の孫の面倒を見に来ていたおばあちゃんが4階から転落死
3月17日、桃山台で火事

防犯 忍び込みにご用心

頼りにならぬ円筒錠。
この程佐竹台、桃山台、高野台の分譲住宅ばかり狙って空き巣に入っていた矢部明31歳が逮捕された。彼の手口は一夜で3〜5軒に忍び込み現金と貴金属のみ盗む手口。その為、犯行がわかりにくかったという。(現金は全て盗まず)
犯人矢部によると鍵は同じタイプのものが多く、一度開けたタイプは開けやすかったとの事。それら手口を警察が公表し防犯対策呼びかけ。

  • 鍵は二重にかける
  • 在宅中も内部チェーンを掛ける

洗濯物論争 団地ベランダの洗濯物が美観が悪いと論争に(団地特有の問題)

ふとした意見から大論争。
団地のベランダに干される洗濯物に美観を損ねると苦言。
それに対する反論が激化。新聞一面で大バトル
発端は「見苦しい洗濯物に一言」の投稿から

「私が千里ニュータウンに移り住んだのは昭和39年8月、今から5年前のことである。入居1週間にして急にヨーロッパ旅行に出かける事になった。今まで一軒家に住み、ニュータウンでのしばらくの留守が気がかりだったが思いがけず団地住まいとなり家財道具を放り込んでヨーロッパへ出発。
その間、一番親近感を持ったのはイタリア。とりわけナポリでは1週間しか馴染みのなかった千里ニュータウンが思い出された。互いに低賃金の問題を抱えているとはいえ、一つの棟から向かいの棟へ長々とロープが張られて、真っ白な洗濯物がハタハタと青空にはためいていた。同じような光景が随所に見られた。それ以外にも、洗濯物といえば白いものばかりであった。無論、それまで見てきたロンドンやパリでは必ずしもそうではなかった。ただ、イタリアは違った。コロシアムやポンペイなどと溶け合っている街の姿に「これぞイタリア!」と思った。
もちろん、ヨーロッパの素晴らしい街々の広場、家々の花壇、アパートの窓に飾られた美しい花々。それらは私の心を慰め、花を愛する人々のゆかしい心を垣間見られた。千里。皇族がお目見えになると言うだけで、そのためだけで一夜にして溢れんばかりの花を添え植えられたフラワーベース。事が済めば全くの廃物と化し未来人の邪魔者にさえなっていく。生え揃わぬ芝生は緑のペンキで吹きたて、付け刃と存ぜぬとは心の持ち方が違うのであろう。万国博を一年後に控えて、『万国博までに〇〇を無くそう。』、『万国博までに〇〇をしよう!』など、掛け声が昨今聞かれる。だが、実際、そんな無理をする事は無い。私は我が身の衣服を人に晒すことなど到底出来ない。それを乾燥機は愚か洗濯機でさえやっとベランダの隅における千里ニュータウンで何が未来都市か!どうせ共同生活なのだからそれを建前とする整備、つまり洗濯物を干さなくても良い共同洗濯場を設け、洗濯物を干さない措置を取るべきである。我々小市民としては見苦しくないように整然と取り組みべきである。」

この投稿で新聞社は貴重な意見と取り扱う
そこに反論…

「見苦しい洗濯物」の投稿に対して、一言私の意見を述べさせていただきます。」

「ベランダいっぱいに干された洗濯物が何故見苦しいのでしょうか?
確かに真白い洗濯物がヒラヒラしているのはいかにも平和で美観も良いでしょう。
しかし、世界の代表や旅行者が来られる、その為に乾燥機を備えよう!などと靡いてしまう気質が日本人の悪いクセだとも思います。「臭いものにはフタ」式なことよりも、日本のありのままを見てもらう方がよっぽど良いかと思います。何故、この時点でさらに格好をつけるのですか?」

無双主婦の見解
団地干しされる洗濯物に関して見苦しいとの意見について。
万国博の為、世界中から千里に来られる。よって未来都市千里ニュータウンに星物があるのは恥ずかしいとの事ですが、千里ニュータウン民として外国人に恥じることはありません。
そもそも乾燥機などと言うものは陽の光の弱いところに住んでいる人の補助電化製品です。
自然の恵み、明るく澄み切った空気、降り注ぐ太陽の千里ニュータウンで洗濯物を干してない事の方が変。そもそもそういう風に設計された団地で洗濯物を靡かせるのに、何の恥があるでしょうか?
むしろ訪れる外人さんにありのままを見てもらっていいのでは?

私見…この頃の主婦の生命力の強さに惚れました

人命対情緒 先日の水死事件で柵と有刺鉄線の設置が議論。(安全対策)

3月に3歳の子供が牛首ヶ池でハマって亡くなった事故で柵、有刺鉄線の設置に議論。
一部の住民から情緒がなくなると反対の声。しかし柵設置が決まる。
すると、柵だけでなく鉄条網が張り巡らされる事に。異様な光景に怒りの訴えも。
亡くなった子供は気の毒だが、いつの時代も命は自分で守れ、子供の命も親が守れ。
子供を失った家族が企業局と協議した結果の施行。

ペテン食品にご注意 添加物偽造蔓延る(食の安全)

飲料ドリンク、缶詰、酢、ワサビなどに表示されていないサッカリン、チクロ(サイクラミン酸ナトリウム)の使用が見つかる。
当時は人工甘味料の規制が緩く、サッカリンやチクロの発癌性が疑われていた。特にチクロはアメリカの指導で使用禁止に。
しかし、多くの食品で“隠し使用”が発覚し、消費者の不安を煽った。
昭和41年までは添加偽造は年間15、6件を推移していた。
しかし、昭和42年は50件、昭和43年は70件を超え急激に上昇。

吹田市で食品の量 抜き打ちで検査 肉、野菜が目方不足(消費者問題)

食品パトロール、抜き打ちで検査始める。吹田市民会館大集会場で吹田市量目調査が行われた。主食品から乾き物、肉、野菜、果物など生鮮食品を含む557点を吹田消費者センター、婦人団体協議会など5団体の立ち会いのもと厳正に調査。調査結果によると、全体の18.3%が2%以上の量目不足。特に肉類が著しく、野菜、乾き物と続く。

  • 牛肉41点中 不足10点
  • 野菜92点中 不足21点
  • 乾物62点中 不足18点

例えば、牛肉500gのはずが480gしかないケースが多発。買い物客が“少ない気がする”と思っても確かめる術がなかった。しかし、実際に「買い物客の“少ない気がする”」は当たっていたのだ。

宇宙時代の栄養革命 色んな栄養剤が広告に 

クロレラ食品、クロレラ発酵乳が千里ニュータウンについに登場。
神秘的な効果

  1. 消化器系腫瘍の治癒効果
  2. 難治性腫瘍の治癒効果
  3. 学童の体格、体位の向上効果
  4. 風邪などに対する免疫力向上効果
  5. 老化防止
  6. 人体細胞の活性化

この頃から栄養ドリンクなどの栄養補助食品、いわゆるサプリメント摂取の意識高まる。
しかし、広告掲載の効果効能が現代ならおそらく全部コンプライアンス違反。

6.番外編(生活・娯楽)

女性ファッション広告増加、ついに女児の下着まで(広告・消費の変化)

女性のファッションさらに過熱。

  • 春のアウターコート
  • 肌のお手入れ
  • お化粧にはパンケーキ
  • 女の魅力的な手はハンドクリームで

これらだけに飽き足らず、ついには女児用の下着の心得を掲載

もしもし電話勉強会開講(通信技術の進歩)
「発信10回中6回が間違い」

千里局が藤白台小学校で電話勉強会開講。
電話局長と営業課長、統計係長が来校した。昨今電話発信10回中6回が間違っている。もしくはかからないという事が統計でわかり、小学生から教えようという事に。

同時にかける際、かかってきた際のエチケットも指導。

新千里南町分譲に15,000人殺到(住宅需要)

分譲宅地87倍
分譲住宅78倍。

販売される180区画に3万人殺到。
応募用紙を兼ねる一部100円のパンフレット2万部が即完売。臨時で追加印刷へ。
見学会には大挙の人が押し寄せ駐車場は収容しきれず。
買った瞬間に値上がりが見込まれ当たったら宝くじのようなものとさらに過熱。

高層住宅被害 低層住宅テレビが映らなくなる(技術トラブル)

14階建ての高層住宅のせいでテレビが映らなくなったと住民からの苦情が殺到。
15メートルの団地の屋上に8メートルのアンテナを建てて対応との記事。
まるでバカボン的対応策。これでいいのだ!
佐竹台、津雲台の一部の分譲でもテレビ映らなくなったと苦情。

青少年白書 受験戦争に溢れた若者がフーテン、過激派に

現代社会の急激な変動により第一次産業従事者の減少。
第二次、第三次産業の増加により人間を単一化、規格品化し、受動的人間づくりを社会全体で進めてきた。そこからこぼれ落ちた人間は職場からも地域からも、ついには家族からも疎外され内面に鬱屈したものを含みながら孤独感に苛まれ悶々とした日々を送っている。
一方、急激に行動経済成長した社会も多くの矛盾を孕みつつも落ちこぼれた青少年を逃げ場のない危機と不安に追い込む。こうして虚無的フーテンや学生運動に走る過激派を生み出している。
今後受験戦争も一層激しさを増し、家庭でも「勉強!勉強!」とさらに責め立て、都市化により遊び場もなく、家でテレビを見るくらいしかない状況に解決策は見えない。このままでは頭だけ育って人と遊べないもやし人間ばかりを育てるであろう社会を危惧と新聞。

笑いの二強対決 ドリフターズ対コント55号(昭和のエンタメ)

来年の正月映画でドリフターズとコント55号が対決。
内容

ドリフターズ・・・「ミヨちゃんのためなら全員集合」
いかりや長介が高校時代の後輩加藤茶を奴隷に使い、工場を盛り立てている。ある時異臭騒ぎで地域住民ともめる。住民は族を使って追い出そうとするも救世主ミヨちゃんが登場。
次々と難題を解決。
短評・・・ドリフの面々がそれぞれ明るく面白いが特に加藤茶の女装といかりや長介のサルヅラが爆笑もの。

コント55号・・・「出発進行コント55号」
都電の運転手である坂上二郎の元に北海道からの流れ物を気取る萩本欽一がひょんなことから居候となる。坂上二郎には美人の彼女がおり、それを欽ちゃんが横取りしようと大張り切り。尾崎奈々、奈美悦子の美女相手に大ハッスル。

キャッシュレス時代到来+貯蓄に大変意欲的 特に若者(お金の価値観の変化)

サイン一つでお買い物、飲食から宿泊までO.K.
キャッシュレス(現金不要)時代を合言葉にクレジットカードが大人気。

  • ハイクラスがお持ちです
  • 会員様はエリートです

とのキャッチフレーズで浸透中も普通の奥様にはピンときていない様子。
キャッシュレスに乗り遅れないようクレジットカードに強くなっておこうと掲載。

貯蓄に大変意欲的
世帯平均128万円。分譲組より賃貸組が相対的に多い。
若い人ほどガッチリで、半数以上が給与の1割をしっかり貯蓄。

7. 千里ニュータウンの未来(年末)

千里ニュータウン10万人突破(大台達成)

千里ニュータウンの人口が11月14日に10万人突破しました。幸運は津雲台の公務員新婚さん。これで以下のように吹田、豊中合わせて10万人となりました。
世帯数29,893世帯。男49,827人。女50173人。合計10万人。

吹田市民の歌募集(文化活動)

躍進吹田市 市制30周年記念で「吹田市民の歌」募集

  • 応募資格・・・吹田市に在住する者 吹田市に通勤通学する者
  • 応募条件・・・千里ニュータウンと70年万国博覧会会場都市のフレーズが入っていること

応募は吹田市役所まで

吹田市の立場はっきりさせよ 大阪府の天下り、大阪市との連携、これではどこから見ても一つの市(政治・行政)

吹田市側では、大阪府の天下りを受け、また大阪市との連携から何処から見ても一つの市と言われるのも無理はないと議論。この際合併するか、立ち直って存続するか決断せよと過熱。迫られる吹田の未来像。

理想の都市づくりも住民参加が不可欠(ニュータウンの今後)

吹田市存続について、万国博終了後議会を開く事に。
この時点で既に中馬大阪市長は明確に「既に大阪市と吹田市は一つの市。」と断言した上で、「今後、吹田市は大阪市と合併の運命にある。」と発言。
益井講師は「成功するであろう万国博の成果、そして千里ニュータウン都市の功績を自分のものにしたいという発言にしか聞こえない!」と一刀両断。

完成間近い千里ニュータウン(成長の総括)

昭和37年9月に佐竹台入居が始まり、足掛け7年と数ヶ月。大阪府の千里丘陵住宅開発計画は9分出来上がった。訪れた多くの人が

  • 異国の様だ。
  • かつて日本の何処にもないオトギの国のようだ。

と口を揃えた。
確かに道路は立派、公園も広大、住宅の整然としている。これぞ最先端のニュータウンとの意見がある一方で、何もないベットタウンとこき下ろす意見も。
実情はとても永住できたものではなく、人生街道の単なる宿場町の一つ、要するに時が経てばみんなで定期過疎化すると断言する人もいる。
国家権力と官僚的叡智によって出来た千里ニュータウンは、その光と影を持ち合わせている。

機械・物理的近代科学と伝統とれ式の中で培われてきた人間も睨み合いとも言える。
児童公園、緑の歩道、中央公園展望台、素晴らしい癒しの文化的な施設が見られる反面、神社、寺、墓すらないと嘆く意見も半数を占める。しかし、それもここでしか実現出来なかった実験の未来都市。それが「千里ニュータウン」。
万国博開催に併せて千里中央地区センターがオープン予定。

1970年

千里ニュータウン

来年ついに完成す

https://youtu.be/5Psecv3fh60

今週明け(2025年、2月20日前後)ユーチューブ動画配信予定
乞うご期待!