エルトンとバーニーの記念すべきデビューアルバム
シンプルなジャケットは
エルトンが弾き語りをする肖像
まだ稼ぎも少なく、
後の億万長者の片鱗も感じられない
大人しい雰囲気だ
「エンプティ・スカイ」のタイトル通り
飛び出そうとする一若者に過ぎない
考えもまだ青年そのもので
社会に対しての不満や
疑念を遠慮なく炸裂させている
エルトンの熱烈なファンでないと聞くことがないであろう
このアルバム
ただ、もしこちらを訪れられて
エルトンって、どんなこと歌ってるの?
やっぱり恋愛ソングですよね、
そんな方がおられましたら、
是非、これらの歌詞を見てください
また良かったらPVを作っておりますので、ご覧くださいませ。
ご期待にそうような「恋愛ソング」は一曲もありません
エルトンとバーニーの作品群は
力強く人生を生きていく強壮剤であり
バイブルなのです☺️
1曲目「Empty Sky」について
そんなアルバムのトップを飾るのが、アルバム名と同じタイトルソング。
多くの人が社会に不満を持ちながら、
行動を起こす事もない。
もう、火がついて危ないと分かっていながらも、
その場所を飛び出そうとせず、
殻に閉じこもっている
これではダメだと思って
空高く舞い上がってみた
だけど、やっぱり虚しいだけだった、、、
とりあえず、現状が嫌で行動を起こして、
すぐは開放感から嬉しさが募っても、
頑張らなくてはいけないのは同じ。
まるでエルトンの大スターになって感じたことまでを予言しているような歌
この歌のライブ版がYouTubeで聞けますが痺れますよ!
若かりしエルトンの思いの丈をぶつけた歌です
2曲目「Val-Hala」
北欧神話、バイキング伝説に通ずる
バーニーらしいスケールの大きな歌
古き良き時代に思いが馳せる
3曲目「Western Ford Gateway」
みんな着実に死に向かっている
そんな当たり前のことに真摯に向き合わせてくれる歌
重々しい内容なのに
エルトンは力強く格好良く歌うんだよなぁ
4曲目「Hymn 2000」
デビューアルバムでこんな事歌っていいの?
大丈夫かと心配になるような作品
でも、こういう切れ味鋭い刃物のような詩がいいんですよねぇ、
きっとエルトンって甘い歌ばかり歌ってる人でしょ
商業的なアーティストでしょ
そう思ってる方が多いかもしれません
しかし、商業的や表面的な綺麗さを求めてるアーティストは
きっとこんな炎上作品は歌わないし、
ポリシーがないとできない作品作りだと思うのであります
5曲目「Lady What’s Tomorrow」
この歌も奥深い作品
その昔、幼い兄弟が駆け巡った
思い出のクローバー畑、
緑の森
それが今ではもうコンクリートで覆われ
無くなってしまった内容
時間は無情に過ぎていく、
そしてあらゆる物を変化させていく
だけど、そんなこと今に始まったわけではない
現に今日も昨日とは違っているのだ
1日1日を大切に過ごそうと思わせてくれるメッセージソング
6曲目「Sails」
エルトンとバーニーがチャンスを伺いながら
過ごしていたことが窺える作品
何の苦労もなく
あっという間に売れたように思われているかもしれないが、
不安を抱えながら
もがいていた様子が感じ取れる
元気をもらえる作品
7曲目「Scaffold」
前曲にも通づる内容
じっとしていれば植物のように何かに守られ生きていくこともできるだろう
しかし、エルトンとバーニーは
あえてミノタウロスが暴れ回る
外の世界へと飛び出した
金の卵を得るために
育て出した豆の木
果たしてどこまで育つだろうか?
ジャックと豆の木を思わせる作品
8曲目「Skyline Pigeon」
大空へ飛び出すピジョン
「Fly Away」が心に響く。
この取り止めのない解釈の多様性ある作品に到達したこの作品で
エルトンとバーニーは自分たちのスタイルが確立できたと確信。
この後の、
「High Flying Bird」
「PINKY」
「Someone Saved My Life Tonight」の原型とも言える。
9曲目「Gulliver」
ファーストアルバムの最後を飾るこの歌
「ガリバー旅行記」を意識した作品
全4作からなる実際の「ガリバー旅行記」は
不思議な世界の僻地を回るお話
私たちが一番印象に残っているのは
ガリバーが巨人に見えるほど
小さい人々の国に流れ着き
気がついたら縛られているシーン
あれは実際の世界を強烈に風刺した訳だ
そんなガリバーのような作品を
エルトンとバーニーは作りたかった
そんな思いが感じ取れる
さて、このアルバム「Empty Sky」から
エルトンジョンの輝かしいキャリアがスタートする訳です。
このアルバムだけでなく、
エルトンとバーニーの作品の中には
とても白人とは思えないほど
白人社会やキリスト教を風刺した作品や哲学的作品が多い
ファーストアルバムからしっかりした核とでも言うべき
一貫したメッセージが込められている
だからこそ一瞬の流行でなく、
長きにわたって愛されるのだろう
エルトンジョンが音楽史上稀に見るメロディーメーカーでありながら
バーニーの一貫したコンセプトある詩のおかげで
アルバムが曲の寄せ集め的な作りでないのだ
アルバムを通して聴いて「Empty Sky」。
このアルバムの凄いところは、
聞き終わった後、
もう一回、ループしたくなるように作られている。
それが成功してるとは言えないが、
この作風は第一期エルトンジョンの最終作
「キャプテンファンタスティック・・・」でも活かされている。