エルトンジョン

「Caribou」エルトンジョンのアルバムについて

大成功を収め、
音楽界随一のスターに上り詰めたエルトン
そのエルトンのカミングアウトのようなアルバム

リアルな人間の業や悲哀を
エルトンの歌声とバーニーの抒情的な詩が
見事にかみ合った傑作の数々

全盛期のアルバムの中で
一部評論家から最も評判の悪いようだが、

私、個人的にこのアルバムの一体感は
一番だと感じてしまいます

1曲目「The Bitch is Back」について

内面をさらけ出したアルバムの
オープニングを飾る切れ味鋭いギターサウンド

そして、主役登場!

もうアルバムでありながら
映画のようなシーンが駆け巡る

もう富も名声も得たエルトンは
誰に対しても媚びないし
容赦もしない
まるでジャイアンのようなオレオレ状態

俺ってイケてるよね!

そんな時って人生誰でもあると思うんです
青春真っ盛りという感じで若い頃を思い出す
元気になれる一曲

The Bitch Is Back あばずれさんのお帰り 日本語訳と解説 エルトンジョンどこにでもいる根暗な青年、「絶対お前には無理!」と言われていた成功を手にし、 「はい!結果を出しました! 散々言ってやるよ、色んな事!だって俺、頑張ったもん!」 と言ってのける歌。...

 2曲目「PINKY」について

エルトンの曲の中で一番美しい!
そう思う事が多々あります

何だろう?

詩も美しいし、メロディーも
エルトンの歌声も全てが美しい
まるでおとぎ話のような映像が頭に浮かぶ
これは架空の女性の歌のように感じるのですが
私の勝手な想像で
これはエルトンの心の女性性を表してると思うのです。
肉体的に男として生まれたとしても
魂や心には男も女もないと思うのです

しかし社会では
考え方や心の在り方にまで性別を求められがち
だから意外に男の方が純粋な乙女心を持っていて
隠しているかも、、、、

そこをすげーく深ーくバーニーが表現してくれている
エルトン作品の中でも
何故か埋もれてしまっている出色の作品
余談だがレイ・クーパーのパーカッションも最高

PINKY 日本語訳と解説 エルトンジョン 不滅のファンタジーソング健気な乙女心の歌。...

3曲目「Grimsby」について

一体感が秀でたアルバムの中でも
最高にノリノリの作品
ディーの重低音のベース
ナイジェルの軽快なドラム
デイビーの小気味良いエレキギター
レイの人間技とは思えないタンバリン
素晴らしく軽快なサウンド

グリムズビー 美しき故郷 日本語訳と解説 エルトンジョン Grimsbyオープニングのレイのタンバリンからデイヴィのギター、ディーのベース、ナイジェルのドラム、そして、エルトンのピアノと歌声、三人のバッキングボーカル。どれも素晴らしく、完璧な一体感を感じさせてくれる。何回でも続けて聞きたくなる...

4曲目「Dixie Lily」について

バーニーのオハコ
西部開拓時代の古き良き時代のワンシーン
この曲聞くと
一日ボートに揺られて琵琶湖で釣りしたくなるんですよねー 

ミシガンが横切ると
「Dixie Lily」の世界観やん!
って思うのであります!

ディキシー・リリー(ショーボートが川を行く)日本語訳と解説 エルトンジョン Dixie Lily古き良きミシシッピ川の風景が見えるような歌。バーニーの西部開拓時代の想いがどのアルバムの必ず歌われている。しかしバーニー、いったいどんだけ好きなの!?笑...

5曲目「Solar Prestige a Gammon」について

あまりにも二人の作品の詩に
色々意味づけされて
しかもそれがトンチンカンだという事で
まるで幼稚園児が
「ウ〇コ」
「チ〇チ〇」とか言って喜んでいるような
何の脈絡もない言葉の羅列に
エルトンが曲を付けて
しかも偉そうに語っているかのように歌う
バカバカしい内容だが
これでも楽曲になってしまうという
逆にエルトンの凄まじい才能が垣間見える作品

ソラー・プレステッジ・ア・ガモン ぎらぎら太陽マークの特上ハム 日本語訳と解説 エルトンジョン Solar Prestige A Gammonこれは訳せない。もう、無茶苦茶な歌詞。こんな歌に何だか雰囲気ある曲を付け歌うエルトンもさることながら、バーニーの意味のない詩。豚と魚たちの登場に何だか深い内容があるのかと考えてしまう。...

6曲目「You’re So Static」について

都会の女にゃ気を付けな
パイみたいに切り刻まれるぜ

食うか食われるか
ニューヨークを舞台に
社会で生き抜く男と女のサバイバルが描かれている

ニューヨークの尻軽女 日本語訳と解説 エルトンジョン You're So Static前作、グッバイイエローブリックロードのdirty little girlに通ずる女性蔑視の歌。しかし、エルトンとバーニーの特徴でもあるが、女性というより寄生しようとする人間に気を付けろ!だけど、そんな寄生虫が君も好きなんだろ?魅せられるものとの駆け引き、それこそが自分の弱点。弱い自分への戒めもこめられている歌のように感じる。...

7曲目「I’ve Seen the Saucers」について

エルトンとバーニーの空想的な面がとても面白い

詩人としてのバーニーの創造的世界観
エルトンの宇宙からやってきたかのようないで立ちと才能
もしかしたらUFOに乗ったり連れて行かれたりしたんかも?
これ冗談ぽく言ってるけど
ホントの話じゃない?
銀河鉄道の夜
星の王子様の世界観です 

空飛ぶ円盤 日本語訳と解説 エルトンジョン I've Seen The Saucersとても興味深い作品。天才は宇宙と繋がっている、一体感を持っていると言います。かのジミーヘンドリックスは宇宙からやって来る音楽をそのまま再現しているだけ、そんな感じのような事を語ったと言われます。エルトン、バーニーも実際そんな感覚を持っているんだろうな。...

8曲目「Stinker」について

1曲目の「The Bitch Is Back」にも通ずる作品

あぁ、本当にこの頃のエルトンはクソ野郎だったんだろうなぁ
でも、クソみたいな面は誰でも持ってるんだよなぁ

だけど普通の人はお金もないし、自立もしてないから
仕事を失わないように、
世間から孤立しないように
隠してるだけなんだよなぁ

エルトンは成功したから遠慮なしに出して
鼻つまみ男になってもお構いなし
やっぱり凄いなぁ、、、
そんな曲です笑

スティンカー 虫けらのような男 日本語訳と解説 エルトンジョン Stinkerエルトンジョンの人気が最高潮に高まって来て、ド派手な衣装、毒舌の言動で、ファンの親たちは眉をひそめだす。そこにエルトンとバーニーの一撃。そうこれはエルトンの開き直った毒舌歌。...

9曲目「Don’t Let the Sun Go Down on Me」について

 いっぱい変な面を出したエルトンですが
やっぱり生身の人間

誤解されたりして
寂しい思いもしてるんです
もう、生きて行けない!
俺を地球として考えて
もう永久に日が昇らない

僕の太陽よ
行かないで!
そんな絶望感の歌

Don't Let The Sun Go Down On Me 僕の瞳に小さな太陽 日本語訳 エルトンジョン この歌には戒めを感じてるんだ! 例えば商品を買ってもらいたと思いすぎると、 良いものを作ろうとする「自助」の気持ちから、 買ってくれる人を探したくなる「他力本願」の気持ちへ移行してしまうんだ。それの度が過ぎると媚びた作品ばかりになって魅力がなくなるよね!...

10曲目「Ticking」について

エルトンのトラウマは
紛れもなく家庭環境
そして母
俺は運よく音楽で成功したけど
銃乱射の犯人にだってなりえたよ

だから、世界中のご両親
子供への言動はよく考えなさいよ
引き金を引いたのは子供じゃなくて
あんたが引かせてるんだ!

そんな社会風刺の歌 

ティッキング 母さんの言葉 日本語訳と解説 エルトンジョン Ticking毒親の元に生まれてしまった不幸をつづった詩。エルトンの自分が好きになれない境遇。そのトラウマについて聞かされていたバーニーがもしかしたら狂って人を殺しててもおかしくない!とでも言うように綴られた詩にも感じる。チクタクチクタクというのが、いつ爆発するか分からない時限爆弾の時計の針のように心に刺さる...

さて、このアルバム
単にサウンドが良いとか売れたとかだけでなく
非常にトラウマやマイノリティに焦点が当てられているように思うのです

4曲目の「Dixie Lily」以外
ほとんどがエルトンの個性と
悩みと苦悩が題材のようにも聞こえます
2枚目のアルバム「ELTON JOHN」に通ずる作品群

売れたとかだけで判断せず
命懸けでエルトンとバーニーが作っていた事を想像して欲しいと思うのです
そして、エルトン黄金時代の終焉
次のアルバム「キャプテン・ファンタスティック」に続いていきます

アルバム「Caribou」 youtube動画リンク