自分育て

「冬至」初候「乃東生ないとうしょうず」#14

2022年12月22日6時48分
冬4番目の節気「冬至」
初候の「乃東生」になりました。

24個の節気の中の22番目「冬至」
72個の候の中の64番目「乃東生」になりました。
しかし、自分育てのカレンダーの観点では
冬至はお正月だと考えております。

なので24個の節気の中の1番目「冬至」
72個の候の中の1番目「乃東生」
が本来の姿なのです。

もちろん、この記事をご覧の方で、
何を言ってるんだ!と思われる方がいても致し方ないことです。
では何故、私が冬至をお正月と捉えているのか、
もし、ヨシヨシそうか戯言を聞いてやろうという方がいらしたら、
どうぞ最後までお付き合いくださいませ。

冬至

冬至は一年で最も日の短い分岐点となります。
この日を境に一陽来復(いちようらいふく)といい、
夏至に向かって日に日に日照時間が長くなっていきます。

九星気学でこの変わり目を「陽遁」といいます。

「陽遁(ようとん)」は陰が極まって陽へと転じる流れ、
反対に「陰遁(いんとん)」は陽が極まって陰へと転じる流れ
になります。

陽遁と陰遁、それぞれ冬至と夏至の一番近い甲子の日(六十干支最初)を変わり目と見ますので、
実際の夏至、冬至とはズレが生じます。
しかし、考え方として、「一陽来復」は「陽遁」と同じ意味合いになります。

従って、冬至と夏至は大変重要な日なのです。
エジプト文明やインカ文明など多くの文明では
夏至の日の太陽光に合わせて大建造物を建立しています。

夏至は、陰遁となるこれから日が短くなる冬に向かう節目、
しかもその後の天気によっては収穫にも影響したので、
この夏至は世界中で神に無事を祈る祭りとなりました。

しかし、反対に冬至は日が長くなっていく節目です。
自然と陽に向かって行くため、
冬至は新しい太陽の誕生祭として、
世界中でお祭りがあります。
クリスマスも元はこの冬至祭が起源と言われています。

そして、冬至が本来の正月であるというのは
あらゆる学者も説いています。

それでは何故、
正月が本来の冬至からかけ離れた季節となっていったのでしょうか?

暦の変遷

日本の暦は中国の影響を大きく受けております。

中国では皇帝が変わるたびに
暦が書き換えられたといいます。
その書き換えは紀元前2000年前の夏王朝で記録されております。
書き換えられた正月は寅の月。
恐らく2月の初め頃だったのでしょう。

そして、その後も皇帝が変わる度に
その時代に都合良く正月が変えられていったのです。

さて、それでは正月をコントロールすると
一体どんな効果があるのでしょうか?

一つに
政治的に民衆をコントロールしやすくなるというのが理由です。

例えば、日本では4月が学校や会社の始まりの月になります。
4月になったら新しいクラス、
新しい部署、支店移動など、大きく環境が変わる事があります。
私たちはそれに気を取られ、
勝手にいい人間関係が築けたらいいなとか、
クラス替えの担任の先生はどんな人だろう?とか、
転属先の同僚、上司はどんな人だろうとか、
よく考えてみれば全く重要で無いことに期待してしまいます。

また、春は本格的な活動期に入ります。
何もなくても心がウキウキします。
そこで大きな新学期という一大イベントが重なるのです。
当然ながら私たちは知らない間に新しい出会い、
新しい環境に期待しています。

しかし、実際期待通りに行く事はありません。
勝手に期待して、想像とは違ったという事で、
一月後に五月病という鬱状態がやってくるのは
この「勝手な期待」が原因とも言われています。

これに似た「勝手な期待」状態が、
初詣です。
1月、もしくは旧暦の立春にお参りに行く人々がいます。
私も行くことがありますが、
ただ、無病息災や商売繁盛を願いに行くわけではありません。

この冬至を中心に冬の節気の季節に反省と作戦を練り、
来年の目標がたった上で、
「それらをやり遂げる!」と自分に約束し、
宣言するために神社にお参りに行くのです。

例えば、私の場合は自分の商売のために、
一年の計を巡らせます。
いくつかの著作物や作品を仕上げる事、
新しいマーケット開拓を目標に掲げるのです。
今では、私のような一年の計を巡らせたとしても、
現代の日本国政府においては何の脅威でもありません。

しかし、古代や中世においての明確な目標設定は
国を治める王にとっては危険分子を生み出す脅威となります。

その為、習慣的に力を蓄えないよう
時の権力者は暦を操作して、民衆の計画性を抑えていたのです。

現代でもその名残はあります。
日本ではゴールデンウィークやシルバーウィークなど、
海外では珍しい休み体系で
民衆の高揚感を煽り、不満のガス抜きと経済活性に役立てています。
また、どの国でも喜び事があった時に、
政府から国民へまるでプレゼントかのように休日が与えられることがあります。
(最近では2023年のW杯予選でアルゼンチンを倒したサウジアラビアの国王が記念日として急遽休日が設けられました。)

こう言ったことからも、
暦の変更や突然休日は
国の統治に利用されてきたのです。

曜日制のカレンダーは人を忙殺の彼方へと誘う

今、当たり前に過ぎていく暦、
特に曜日による1週間の移り変わりは、
私たちから日々の自然の美しい移ろいを忘れさせます。
月火水木金土日、
どの曜日にしても、
一年に52回も同じ曜日がやってくるのです。

きっと、曜日の中で最も嫌われているのは月曜日ではないでしょうか、、、。
そして、一番人気は金曜日、土曜日あたりではないでしょうか?
これも変な話です。
たまたまその日が月曜日なだけで、
その日に多くの人が嫌なイメージを抱いてるとしたら、
それだけでももったいない事です。

そんな曜日制のカレンダーに合わせて生きていたら、
日々が忙殺されていくのは当然のような気がします。

曜日制度は、
たった7種類で選別した「曜日感覚」で生きている人と、
便宜上約束する時だけの活用でいいと私は考えています。

普段は二十四節気七十二候で過ごし、
自分を育てて行くつもりで、
四季を豊かに感じ自然とシンクロすることが、
人生に優雅に過ごすコツだと思うのです。

以上のような理由で、
私は冬至をお正月と考えています。
さて、厳かな気持ちで2022年12月22日6時48分の冬至を迎えたいと思います。

「乃東生」ないとう(なつかれくさ)しょうず

夏枯草(ウツボグサ)が芽を出す頃という意味ですが、
実際にはこの時期に芽を出すわけではありません。

夏至の初候「乃東枯(なつかれくさかるる)」と
丁度正反対に当たるように配置されています。

七十二候の1番目の候が『乃東生』という事で全てがリンクします。

  1. 一陽来復(いちようらいふく)
  2. 陽遁
  3. 乃東生

この3つが全て夏至に向かうスタートの言葉をして、
ピッタリと一致するからです。

その夏枯草の発芽が
お正月である冬至の一つ目の候、
この時期に芽がでるわけではないにも関わらず、
「夏枯草」が芽を出しましたよと、
あなたも夏に向かって何かを始めましょうね!と暦を使って、
私たちにメッセージをくれているのです。

先日の「金盞香」の水仙も時期がズレていましたが、
これは私たちに直接訴えかけているメッセージなのです。

感謝

前節気が「大雪」でした。
その為、夏枯草が芽を出したと言っても、
雪の下で見えるとは限りません。

では何故、
雪の最中に芽を出したと私たちに伝えているのでしょうか?

それは、
この冬至の時期に
来年の夏へ向けて虎視眈々と活動している人は、
実際には陰で努力していて、
目には見えないんだよ、、、。

そういった高度な意味が込められていると私は考えます。

私たちはすぐに、
頑張ったら見てもらいたくなるし、
褒められたくなります。

しかし、ここで登場する夏枯草は、
雪の下で芽を出し、
夏に花が咲くと枯れたように見えます。
なので、決して観賞用として愛される訳でもありません。

なのに、薬にも食用にもなり、
健気に人々の役に立つのです。

そう考えると、
私たちは大いに「夏枯草」を見習わないといけません。

また、驚くことに「夏枯草」の花言葉は「感謝」
まるで、人の役に立った大人物が、
偉ぶる事なく、こちらこそありがとうと言ってくれている気がします。

さぁ、冬至、夏枯草にあらためて思いを巡らせると、
夏に向けて、頑張ろう、
いやっ、頑張らせてください!
そんな気になってきました!

次回は12月27日、
「冬至」の次候「麋角解 (さわしかのつのおつる)」です。