自分育て

「水沢腹堅 (さわみずこおりつめる)」#21

2023年1月25日、
冬6番目の最後の節気「大寒」の
次候「水沢腹堅 (さわみずこおりつめる)」になりました。
「すいたくふっけん」とも読みます。

24個の節気の中の3番目「大寒」
72個の候の中の8番目「水沢腹堅 」

※こちらの何番目という順序は古来の正月「冬至」を起点に考えております。
ご了承くださいませ。

水沢腹堅 (さわみずこおりつめる)

大寒、真っ只中の候
「水沢腹堅 」はあまりの寒さに、
流れる沢の水さえも凍りついてしまう時期になります。

1月に入り、
私たちを励ましてくれるかのように、
麦が雪の下で伸び始めたり、
芹も寒さに負けず栄え始めます。
泉の水が動き出し、
雉は雄叫びをあげ、
ビタミンの宝庫であり、
デトックスを促してくれる蕗のとうが私たちに恵をもたらしてくれます。

しかし、そんな時に、一番大変なピンチが襲ってくるのです。
それが流れる沢をも凍らせる「水沢腹堅 」

これは自然が私たちに、
油断してはいけませんよと
真髄を突いたアドバイスのように思います。

凍滝

最強の冬将軍がやってくるのが、
大体この時期です。

各地で最低気温を記録し、
水道管が破裂したりする被害も出ます。

山では氷点下の日々が続く厳寒期となり、
「瀧」の水の流れが細くなる現象が起きます。

岩肌は氷柱が出来て垂れ下がり、
氷の壁になるところも、、、
そして「凍滝」と呼ばれる完全凍結。

流れる水の音さえも凍ってしまった滝の様子は、
まさに一種の死のようでもあります。

私たちは、
自分の命が永遠にあるような錯覚を覚えてしまい、
「死」という現実から目を背ける癖があります。
その為、「いつかやろう、、、」と本当は自分の大事な目標を
いつまでも先延ばしにする事が多いです。

「凍滝」は私たちに、
やがて訪れる「死」を体現して、
重要な事を伝えてくれている気がします。

寒さを味わう

「死ぬほど寒い」
そんな経験、誰にでもあるかと思います。
それはきっと最悪の経験だったと思いますが、
その後の温かい家、
温かいお風呂、
温かい料理はどんな感じがしたでしょうか?

いつも以上に感動したし、
ありがたいと思った事でしょう。
そして普通のなんでもないことに
改めて感謝したと思うのです。

極寒を味わうというのは、
人間がついつい当たり前と思ってしまう普段を
改めて認識させてくれる
生命力のラマダンのような気がするのです。

だから修行僧が滝修行をしたり
凍るような川や海に入って、
感謝を忘れがちな魂に喝を入れるのだと思うのです。

私たちは修行僧ではありませんが、
それでも生きていることの喜びを思い出すために、
自ら寒い場所へ赴き、
温かさのありがたさを思い出す。
凍った滝に死生観を見出す。

そんなような禅の真似事が
時には必要かもしれません。

大寒の寒さ、
自然の営みに感謝

次回は2023年1月30日、
「大寒」の
末候「鶏始乳 (にわとりはじめてにゅうす)」です。