自己育成の過程で「好きを育てる」ということが非常に重要です。
通常、私たちは「好き」というものを生まれ持った趣味や趣向だと考えがちです。
しかし実際には「好き」は育てていくものです。
たとえば音楽の世界では、
初めは特定のジャンルやアーティストに対する関心が薄いかもしれません。
しかし、一つの曲を繰り返し聞いているうちに、
そのリズムやメロディーが心に沁み入り、
やがてその音楽なしではいられないほどの熱狂的なファンになることがあります。
これが「好き」になる過程であり、好きを育てるスキルです。
子供の趣味の例も挙げられます。
例えば、2歳の男の子が電車に興味を持ち始めたとします。
親がその興味を認め、電車の玩具を与えたり関連する活動に参加させたりすることで、
その興味はより深まります。
しかし、青少年期になると、好きを育てるための外部からの支援は徐々に減少し、
本人の自発的な探求が重要になります。
カメラを持っての写真撮影、
鉄道旅行、模型制作、
あるいは鉄道関連グッズのコレクションなど、
好きはエスカレートしていきます。
初めは親が手助けしていた好きの活動は、
自分で興味ある方向へと進んでいき、
自分だけの楽しむ方法へと追求していきます。
好きのエネルギーは伝達していく
私自身の例で言えば、幼い頃に父からもらった釣竿とリールが、
私の釣りへの情熱の始まりでした。
最初は海釣り、次第にブラックバスへの興味に目覚めました。
高校生になってルアーを自作し始め、
様々な魚を自分で調理する楽しさを発見しました。
就職した後も、私のほとんどの休みは釣りに捧げられました。
この熱狂的な釣りへの情熱が、後の新聞や雑誌でのルポライターとしての道を開きました。
その後、私の釣りに対する情熱は子供たちに影響を与えることになります。
特に二人の娘は、幼少の頃から定期的に私と一緒に釣りに行き、
成人した今でも釣りに行くとなると笑顔でついてきます。
娘の一人はさらに、海洋大学という海に関連する進路を選びました。
これからどのような影響が現れるかは未知数ですが、
一人の「好き」は周囲の人々にも強烈な影響を与えることは間違いありません。
好きなことに対する情熱は、いわば通常の鉄が磁石に触れている間、
その磁力を帯びるようなものです。
時間をかけて育て、発展させることでその磁力は増し、
私たちの人生に深く根ざし、生きがいと喜びをもたらします。
そしていずれは周囲にまで影響を与えるのです。
「好き」という感情は突然に訪れる興味から始まりますが、
最終的には自分で育て、発展させるものへと変わります。
楽しみは他人やメディアが提供するものに頼るものではなく、
自分自身の内側から生じる「好き」を育て、
それを人生の一部にしていくことの大切さを理解しましょう。
「好きなことを見つける旅」は、まさに自己発見の旅です。