エルトンジョンの記念すべき
初めてアメリカチャートで1位となったアルバム
全体的に思春期の思い通りにいかない青年の心のモヤモヤ感が詰まった作品群だ
エルトンはこの時すでにスター街道をまっしぐらな訳だが
このアルバムにはそんなエルトンもバーニーも
普通に僕たちと同じように
不安やジレンマを抱えながら
ひたむきに生きている事が伺える。
1曲目「Honky Cat」について
今の世の中、
人と違うように行きる事、
夢を抱いて生きる事をバカにし過ぎていると思いません?
やりたい事を探す事、
夢を追いかける事を
まるでダメ人間のように決めつけ、
どうせ泣きを見るんだから
早く諦めなさい、
田舎へ帰れ
お前のしようとしている事は
ウイスキー樽からワインを飲もうと探してるようなモノ
銀山で金を探そうとしているようなモノ
カエルの子はカエル
黙って田舎で暮らしなさい!
きっと、ロックンローラーになりたかったエルトン、
農家育ちで詩人になりたかったバーニー
お互いの子供時代に抱いた自分の素直な夢
周囲から絵空事と言われた反発心が作り上げた作品
そう、今に始まった事でなく、
昔から楽しそうな夢に人は嫉妬し、
破壊しようとする
夢追い人は
この「Honky Cat」を聞いて、
笑い飛ばせばいいのだ!
2曲目「Mellow」について
鬱積した内容の作品が多い中、
ポジティブな詩と言える。
初めての恋愛、そして愛し合う二人
生まれてきて良かった
この人と出会うために生まれてきたと思う瞬間
そんなとろけるような時間を「mellow」という言葉で表現している。
色んなものを買い込んで
部屋にこもって好きなだけ愛し合うって
ドキドキする感じですね。
3曲目「I Think I’m Going to Kill Myself」について
何だかんだ、楽しいはずの青春時代
勉強や受験、
あれしたらダメ、これもダメ
抑えつけられてもう我慢の限界
いっそ自殺でもしたら、
家族は悲しむんだろうか?
誰もが一度くらいは考えたことがあるような
自殺願望の詩
一丁世間を騒がしてやろうか?
まっ、ホントに死んだら
ニュースで流れる自分の自殺も見れない訳だけど、、、
さて、若者を自由にさせないのは
老いぼれた人たちが若さに嫉妬して
苦しむように仕向けてるのか?
そんな気もするので、
この歌を聞いて発散するのだ!
4曲目「Susie」について
この歌はある男の
彼女とのおのろけ話
大好きな彼女、
彼氏との話は聞いていて嫌になるが、
それを田舎の男が
ベラベラと話す、ちょっとダサい感じが
ちょうど帳消しにしてくれている。
なんだか可愛くさえ思えるのがいいですね。
5曲目「Rocket Man」について
エルトンが自分の想像以上にスター街道を突き進み、
気が付いたら空気さえない宇宙空間に掘り出されたような
感覚を歌い上げた歌。
デビュー初期の頃まで、
他のアーティストに楽曲を提供していた際、
コンビを組むバーニーとエルトンは
自分たちの歌はすぐに理解できるような内容でなく、
謎解きのようにしようと後に語っている
この歌も、一見すると分かり辛い詩。
しかし、エルトンの孤独な感情を汲んでおり、
ロケットマンはロックロールマンを捻ってそう表現
そして、宇宙空間で孤独な死を迎える小説とをダブらせて
映画のようなストーリー性ある名曲となった。
6曲目「Salvation」について
言い聞かせるのが「友」に見立てて、
自分に言い聞かせるようなメッセージ。
それがこの曲。
自分の敵は自分。
それにしてもバーニーの詩は深いなぁ、、、、。
7曲目「Slave」について
古代ギリシャ、アメリカの奴隷制など
昔の事と思うなかれ、
現代でも巧みに奴隷制は生きている。
問題は、自分が奴隷のようだと気づかないように
巧みに飴を配られ、
甘んじてる事にある。
足かせは自分で自ら着けているのだ。
自分を解放するには苦痛が伴う。
怖がらずに立ち向かえとのメッセージソング。
8曲目「Amy」について
男なら誰しも味わう苦悩。
精神が育つ前に先ず身体が立派に成長してしまう。
それに伴い、性欲が抑えきれなくなる。
金の有るなしに関わらず、膨らむ欲望。
たいがいは身の程知らずの恋心。
この渦巻く無情さが楽曲によく込められている。
9曲目「Mona Lisas and Mad Hatters」について
善人のフリをして、
にやけ面「モナリザの微笑み」を称えた奴ら
それらに負けずに健気に生きて行く弱者への応援歌
もう、何度聞いても泣けてくる。
10曲目「Hercules」について
アルバム最期を飾るハーキュリーズ
何だか、バックトゥザフューチャーの
マイケル・J・フォックス演じるマーティーのオヤジさんジョージをイメージしてしまう。
これも情けない内容だが、
歌の軽快さが先の明るさ、
反骨心を呼び起こす応援歌に聞こえる。
さて、アルバムの内容は全体的に青春時代の若者の苦悩、
栄枯盛衰が題材となっている。
これまでの重々しさから比べると
音楽的にも軽快になり、エルトンの新しい一面を垣間見ることが出来る。
また、頑張ろうという人生の応援歌にも聞こえる。
人生はまだまだこれから。
このアルバムはもう一度青春時代に立ち返って、
セカンドライフ、サードライフの方々、
もちろん現役で、まだまだ10代の若者も聞いて欲しいアルバムである。