エルトンジョン3として
日本では紹介されているが、
ファーストアルバム、
セカンドアルバムの続編といった要素は全くない
ファーストアルバムは「ガリバー」をテーマにした作品が入っている様に
メッセージ性の強い風刺の効いた絵本的要素がある。
セカンドアルバムは「ELTON JOHN」のタイトル通り
エルトンジョン自身がテーマになっている
セカンドアルバムで
以降も継続的にアルバム発表が出来る手応えを得たエルトンとバーニー
この「Tumbleweed Connection」は
純粋にバーニーの憧れの西部開拓時代にスポットを当てた
コンセプトアルバムとなっている
アルバムのジャケットは
セピア色で古き良き西部開拓時代の風景
店の軒先で
三角座りのエルトンと
壁によりかかるバーニー
何とも落ち着いた雰囲気
1曲目「Ballad Of A Well-Known Gun」について
この曲は1800年代半ばが舞台。
主人公は指名手配の悪党。
その悪党を捕まえるのはピンカートン探偵社
この時代に始めて列車強盗を3回も成功させて
英雄視されていたリノ兄弟が「ならず者」として登場する
Well-Known Gunがそのならず者を指し、
悪党の成れの果てが描かれている
日本で言えば、「石川五右衛門」
いきなり映画「明日に向かって撃て」のような時代に飛んで行けそうな作品
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2曲目の「Come Down In Time」について
男なら誰しも経験したことがあるような
思春期の過剰な期待と葛藤が入り混じる詩
「ゆず」とかが作曲したら、
もっと軽快なリズムになりそうだが、
エルトンはこんな男の情けなるような心情を
切なくも純真なバラードに仕上げた
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3曲目は「Contory Comfort」について
この曲に多くの説明は要らないと思う
日本の盆と正月を思わせる
見事なカントリーソング
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4曲目「Son Of Your Father」について
若者が田舎暮らしが嫌で逃げ出そうとする
それを親父と古い付き合いの老人が止めようとする歌
日本で言えば「東京に行きたい!」と願う若者を想像すれば分かりやすいだろう
あの頑張り屋の親父のお前は息子なんだぞ!
「北の国から」で言うと、
黒板五郎さんが親父で純くんが息子
止めるのは差し詰め中畑木材の中畑さんかな?
そんな映像が出てきそうな作品。
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5曲目「My Father’s Gun」について
この作品はヤバいです。
戦死した父の銃を手にする息子が主人公の作品。
舞台は南北戦争
アメリカ史上、最大の戦争。
死者はいまだかつてこの戦争を越えたことがないというから、
その過酷さは大変なものだったんだろう。
恨みが恨みを呼び、同じ国の者同士が殺し合うわけだ。
しかし、純粋に平和を望んでの事
主人公の息子はその後、負けてしまう南軍の兵として参加する訳なので、
死んだのかもしれないが、
参戦するまでの意気込みを
何度も何度もエルトンがコーラスリピートする
同じ詩の繰り返しなのだが、
繰り返すたびに重みが伝わってくると言うか、
エルトンジョンの語り掛けるような
物語りに引き込む傑出したボーカルだと思うのだ
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6曲目「Where To Now St. Peter?」について
バーニーの人生を生きて行く中での迷い、葛藤を描いた
心の叫びが聞こえてくるような詩
この重々しい詩にエルトンはこの楽曲で応える
この曲、スタジオ録音では見過ごされそうだが、
メチャクチャ格好いいロックです。
ライブで聞いたら痺れます。
是非、YouTubeで検索して聴いてほしい作品
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7曲目「Love Song」について
レスリーダンカンによる純愛の語りの詩
エルトンはここは作曲とボーカルに徹して歌い上げている
これを二人きりで歌われたら、
惚れますよね
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8曲目「Amoreena」について
古き良きキャトルタウンで
アモリーナという女の子を恋しがる男の歌
このアモリーナが天真爛漫で、
すんごくいい子だというのがめちゃくちゃ伝わって来る
美味しいモノを美味しそうに食べたり飲んだり、
野に咲く花のような娘
昔を懐かしむ切ない内容だが、
エルトンのピアノは
イキイキしたアモリーナが飛び跳ねている感じを表現
ナイジェルオルスンのドラム
ディーのベースも効くーっ!
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9曲目「Talking Old Soldeirs」について
戦死した友は
英雄扱いなのだろうか?
とはいえ、所詮
英雄なんて、お国が戦争を正当化するための言い訳に過ぎない
そう、老人は毎日毎日酒場で一人述懐する
バーニーには戦争反対、
銃反対、そんなテーマの歌が良く出てくるが
この曲もそんな一曲
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10曲目「Burn Down The Mission」について
寄付や慈善事業で立派になっていく教会と
ブクブク太る宣教師たちへの皮肉めいた作品
この歌の舞台は私腹を肥やす教会襲撃の歌
日本も金閣寺が焼かれましたね
三島由紀夫の作品とは
火をつける動機が違うように感じますが
いや、もしかしたら、根は同じかも知れない
考えさせられる作品
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アウトテイク曲「Into The Old Man’s Shoes」について
この作品は当時のアルバムには収録されなかったが、
テーマは西部開拓時代の親子問題。
4曲目の「Son of Your Father」が父親側からの観点としたら、
この作品は息子側からの観点の作品
これもエルトンのリピートボーカルが心に響く
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さて、エルトンジョンのサードアルバム
「Tumblrweed Connection」
日本で言うと時代劇のような背景ですね
人の悩み
世の中の不正
いつの時代も変わらない感じですね
西部開拓時代に思いを馳せて
もう一度聞き直してみませんか?