エルトンジョン

All The Girls Love Alice(女の子みんなアリスに首ったけ)日本語訳と解説|エルトン・ジョンの隠れた風刺ソング

目次

  • All The Girl Love Aliceって、どんな歌?
  • All The Girl Love Alice オリジナル歌詞
  • 女の子みんなアリスに首ったけ 日本語意訳
  • 女の子みんなアリスに首ったけ 解説

All the Girls Love Aliceって、どんな歌?

1973年発表のアルバム**『Goodbye Yellow Brick Road』**に収録された楽曲。
この歌の主人公は「アリス」という少女。しかし彼女はただの純粋な少女ではなく、「不思議の国のアリス症候群」のように、大人になりきれず現実から目を背け続ける女性を象徴している。

裕福な家庭に育ったアリスは、幼少期から母の愛を感じられず、大人になった後も精神的な空虚を抱えたまま生きる。周囲の人々にちやほやされることに執着し、自己承認欲求を満たそうとするものの、結局は満たされないまま破滅していく。

この曲は、そんな「かまってちゃん」的な人物への風刺が込められた作品であり、エルトン・ジョン自身の内面をも反映していると考えられる。

All the Girls Love Alice オリジナル歌詞

Raised to be a lady by the golden rule
Alice was the spawn of a public school
With a double barrel name in the back of her brain
And a simple case of Momma-doesn’t-love-me blues

Reality it seems was just a dream
She couldn’t get it on with the boys on the scene
But what do you expect from a chick who’s just sixteen
And hey, hey, hey, you know what I mean 

All the young girls love Alice
Tender young Alice they say
Come over and see me
Come over and please me
Alice it’s my turn today

All the young girls love Alice
Tender young Alice they say
If I give you my number
Will you promise to call me
Wait ‘til my husband’s away 

Poor little darling with a chip out of her heart
It’s like acting in a movie when you got the wrong part
Getting your kicks in another girl’s bed
And it was only last Tuesday they found you in the subway dead
And who could you call your friends down in Soho
One or two middle-aged dykes in a Go-Go
And what do you expect from a sixteen year old yo-yo
And hey, hey, hey, oh don’t you know 

All the young girls love Alice
Tender young Alice they say
Come over and see me
Come over and please me
Alice it’s my turn today

All the young girls love Alice
Tender young Alice they say
If I give you my number
Will you promise to call me
Wait ‘til my husband’s away  

少女は皆んなアリス大好き (日本語意訳)

黄金律によって女性へと育っていく
アリスは公立校の一オタマジャクシ
彼女の脳裏には二重姓(西洋、主に英国の跡取り問題における習慣)がちらついていた
だから、これはママは私を愛していないという単純明快なブルースってわけ
実際はただの思い過ごしと思う

彼女は学校の男子とうまくいってなかった
だけど、おまえ、
16歳の小娘に何を期待してるんだ
だろ?
Hey, Hey, Hey
俺がいう事が分る?

女の子は皆んなアリスが大好き
私は永遠の少女アリス
来て、私はここよ
私を楽しませて
今日は私がアリスよ!
女の子は皆んなアリスが大好き
私は永遠の少女アリス
もし電話番号を教えたら
掛けてきてくれる?
夫が出掛けるまで待って

彼女の心、ここにあらず
可愛そうなご主人
まるで演じる仮面夫婦
あんたは他の女とベッドで楽しみ
そしてついにこの火曜日
地下鉄でばったり見つかり一巻の終わり
上手く凌ぐには誰を呼べばいいだろう?
ゴーゴーバーで中年のDYKE(男役のレズ)の一人か二人
頭の中はいつまでも16才のオバはんに
いったい何を期待してるんだ
おぃ、おぃ、おぃ、
お前ホントに分かってんのか?

女は皆んなアリスが大好き
私は永遠の少女アリス
来て、私はここよ
私にかまって!
今日は私がアリスよ!
みんな、女の子はアリスが大好き
私は永遠の少女アリス
もし電話番号を教えたら
私に掛けてきてくれる?
夫が出掛けるまで待ってる

女の子みんなアリスに首ったけ 日本語意訳一部抜粋

少女は皆アリスが大好き
可憐なアリス、誰もが言う
「ねぇ、こっちに来て、私を楽しませて」
「今日は私がアリスになる番よ」

少女は皆アリスが大好き
可憐なアリス、誰もが言う
「私の番号を教えるから、ちゃんと電話してね」
「夫がいない間に会いましょう」

可哀そうなアリス、心が空っぽのまま
まるで間違った役を与えられた映画のよう
他の奴にベッドで満たされることを求め
でも先週の火曜日、ついに地下鉄で見つかった

All the Girls Love Alice 解説

この曲のタイトルにある「アリス」は、『不思議の国のアリス』の主人公のように、現実逃避を続ける少女の象徴。歌詞では、裕福な家庭で育ったものの母の愛を感じられなかった少女が、周囲の注目を求めてさまよう姿が描かれている。

アリスは、年齢を重ねても精神的に成長できず、他人に愛されることで自分の存在価値を確認しようとする。しかし、その関係は表面的であり、彼女の心の空虚を埋めるものではない。最終的には破滅へと向かい、孤独の中で行き場を失ってしまう。

この曲のメッセージは非常に鋭く、「他人の承認ばかりを求めていると、結局は何も得られない」という戒めが込められている。特に、”Poor little darling with a chip out of her heart”(心が欠けた可哀そうなアリス)という歌詞は、このテーマを端的に表現している。

また、バーニー・トーピン(作詞家)は、この歌を通してエルトン・ジョン自身に対するメッセージも込めたのではないかと言われている。エルトンは自身の成功や名声を得た一方で、孤独や不安を抱え続けた人物であり、彼の内面的な葛藤がこの曲にも投影されていると考えられる。

さらに、この歌詞は「かまってちゃん」的な人物への風刺とも取れる。現代においても、SNSなどで注目を集めることに執着し、承認欲求に振り回される人は少なくない。そうした現象を予見していたかのような内容にも思える。

この曲を聴きながら、自分が何かを失ってまで「他人からの評価」を求めすぎていないか、ふと考えさせられるかもしれない。


まとめ

『All the Girls Love Alice』は、エルトン・ジョンのアルバム『Goodbye Yellow Brick Road』に収録された楽曲で、自己承認欲求に囚われた少女の人生を描いた風刺的な作品。歌詞には、愛を求めながらも満たされることのないアリスの苦悩が込められている。

現代社会にも通じるテーマであり、「本当に大切なものは何か」を考えさせられる一曲。エルトン・ジョンの力強いボーカルと、バーニー・トーピンの深みのある歌詞が見事に融合した名曲のひとつといえる。