自分育て

「芒種(ぼうしゅ)」初候「蟷螂生(とうろうしょうず)」#34

24個の節気の中の12番目「芒種」大体6月5日〜20日
72個の候の中の34番目 蟷螂生(とうろうしょうず) 6月5日〜9日

芒種

芒種は、種まきの時期
芒は稲科の植物を指しており、
日本の場合、田植えをこの時期で済ませる目安となります。

麦の収穫もあるので、
農作業の労働が交差する瞬間と言えます。

比較的天候にも恵まれやすく、
穏やかな日差しの中で、野良作業。
植えられた種や苗は、希望を託された小さな命。
母なる大地で、新たな命の旅を始める。

種まきを終えた農人の背中は、
秋の大収穫を夢見て、
信頼と期待、そして幾ばくかの不安もよぎる。

育つもの、
育てるものの共同作業の始まり。
それが芒種です。

そして、夜が訪れる。星々がきらめき、月が優しく大地を照らす。静寂の中で、眠りは土の中で静かに眠り、新たな生命を待つ。明日への希望、それが指す種の時、種まきの季節。

蟷螂生(とうろうしょうず)

芒種の初候「蟷螂生」
その名の通り、蟷螂が産まれる季節。
秋に向かっての種まき、苗を植えた後、
気になるのは作物が病気にならない事。

カマキリの誕生が七十二候に入っているのは、
アブラムシやダニなどの害虫を食べてくれる益虫であるからです。

農家にとって、
「蟷螂」の鎌を振りかざす姿は自然界の小さな戦士、
その出現する瞬間を祝福しているのです。

緑の甲冑をまとい、ひっそりと葉の裏で静かに時を待つ。
独特の姿勢、
それは祈りを捧げるかのようにも見える。

カマキリは英語で mantis (praying mantis)と言いますが、
語源はギリシャ語の僧侶だそうです。
姿勢正しく、
胸元で拝んだように手を合わせているカマキリの姿に
僧侶を見たのでしょう。

カマキリが害虫を食べながら、
ジッと祈りを捧げてくれていると考えれば、
その存在は、
何とドラマティックな事でしょう。

思わずカマキリに対して祈りを捧げずにはいられません。
それが「蟷螂生」という季節です。

冬至から、
「自分育て」が始まって、
最後の「芒種」となりました。
次回の「夏至」がやってくると、
いよいよ折り返しに入ります。

カマキリに習って、
これまでやってきたことを大事に守り、
そして祈りを捧げて心を落ち着けるのも良いですね。

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