エルトンジョン

Candle in the Wind 日本語訳と解説|エルトン・ジョン スターの孤独と哀しみ

目次

  • Candle In The Windって、どんな歌?
  • Candle In The Wind オリジナル歌詞
  • 風の中の火のように 日本語意訳
  • 風の中の火のように 解説

Candle in the Windって、どんな歌?

『Candle in the Wind』は、エルトン・ジョンが1973年に発表したアルバム『Goodbye Yellow Brick Road』に収録された楽曲。
ハリウッドの伝説的スター、マリリン・モンローを偲び、彼女の波乱に満ちた人生と孤独を描いた名曲である。

スターとしての華やかさの裏にあった苦悩や、世間の注目に翻弄された姿を、
「風の中の炎」のように儚く消えていく存在として表現している。
1997年にはダイアナ妃の追悼曲として歌詞が書き換えられ、史上最も売れたシングルの一つとなった。

Candle in the Wind オリジナル歌詞

Goodbye Norma Jean
Though I never knew you at all
You had the grace to hold yourself
While those around you crawled
They crawled out of the woodwork
And they whispered into your brain
They set you on the treadmill
And they made you change your name 

And it seems to me you lived your life
Like a candle in the wind
Never knowing who to cling to
When the rain set in
And I would have liked to have known you
But I was just a kid
Your candle burned out long before
Your legend ever did Loneliness was tough
The toughest role you ever played
Hollywood created a superstar
And pain was the price you paid
Even when you died
Oh the press still hounded you
All the papers had to say
Was that Marilyn was found in the nude 

And it seems to me you lived your life
Like a candle in the wind
Never knowing who to cling to
When the rain set in
And I would have liked to have known you
But I was just a kid
Your candle burned out long before
Your legend ever did Goodbye Norma Jean
Though I never knew you at all
You had the grace to hold yourself
While those around you crawled
Goodbye Norma Jean
From the young man in the 22nd row
Who sees you as something more than sexual
More than just our Marilyn Monroe 

And it seems to me you lived your life
Like a candle in the wind
Never knowing who to cling to
When the rain set in
And I would have liked to have known you
But I was just a kid
Your candle burned out long before
Your legend ever did  

キャンドル・イン・ザ・ウインド (日本語意訳)

さようならノーマ・ジーン
これまで知る由もなかったけれど、
あなたは取り巻きに囲まれながら
自分を守るために飾っていたんですね
奴らはそんな脆いあなたのまわりをはい回り、
あなたを洗脳するよう囁いた
そしてあなたをベルトコンベアーに乗せ、
名前までも変えさせてあなたを作り上げました

そんなあなたの人生が
風前の灯火のように私には見えるのです
雨が降り出そうとも
誰にもすがる事が出来ない
僕はあなたの事を知りたいと思ったけど
まだほんの子供だったので
良く知る前にあなたの命の火は消えてしまいました
そして、伝説だけが永遠となりました

孤高は辛い
あなたが務めた中でも一番つらい役柄だったでしょう
ハリウッドはスーパースターを作り上げ
苦痛があなたの支払う代償でした
あなたが死んでからもなお
マスコミはあなたの残像を嗅ぎまわり
全ての新聞が
あなたのヌード写真が見つかったと言っては
騒ぎ立てた

そんなあなたの人生が
風前の灯火のように私には見えるのです
雨が降り出そうとも
誰にもすがる事が出来ない
僕はあなたの事を知りたいと思ったけど
まだほんの子供だったので
良く知る前にあなたの命の火は消えてしまいました
そして、伝説だけが永遠となりました

さようならノーマ・ジーン
これまで知る由もなかったけれど、
あなたは取り巻きに囲まれながら
自分を守るために飾っていたんですね

さようならノーマ・ジーン 
あなたをマリリン・モンローとしてでなく、
セックスシンボルとしてでなく
22列目の席から見ていたた若者より

僕にはあなたの人生が
健気な風前の灯火のように私には見えるのです
雨が降り出そうとも
誰にもすがる事が出来ない
僕はあなたの事を知りたいと思ったけど
まだほんの子供だったので
良く知る前にあなたの命の火は消えてしまいました
そして、伝説だけが永遠となりました

Candle in the Wind 解説

エルトン・ジョンが敬愛するアーティストの一人、マリリン・モンロー。
彼女はハリウッドのトップスターでありながら、その人生は孤独と苦悩に満ちていた。

彼女は孤児院で育ち、16歳で結婚。
その後、映画の世界へと進み、25歳でスターの座を掴んだが、
愛を求め続けながらも報われず、36歳の若さでこの世を去った。
死因は薬物の過剰摂取とも、陰謀による暗殺とも囁かれている。

この曲では、彼女の人生を「風の中の炎」に例え、
名声の中で翻弄されながらも懸命に生きた姿を描いている。
特に、”Your candle burned out long before your legend ever did”(あなたの炎は伝説よりも早く消えてしまった)という歌詞が、
彼女の儚さと永遠性を象徴している。

しかし、この曲は単なる追悼歌ではない。
エルトン自身の姿もまた、この歌詞と重なっている。

エルトン・ジョンは「エルトン・ジョン」というキャラクターを演じることに疲れ、
本来の自分「レジナルド・ドワイト」とのギャップに苦しんでいた。
それは、銀幕のマリリン・モンローと現実の「ノーマ・ジーン」との落差と似ている。

この歌の深さは、そうした「演じる人生」を持つ全ての人に共鳴する点にある。
ピエロの仮面をかぶり続ける人の哀しみ、
愛を求めながらも見つからない孤独、
そして、伝説として語り継がれることの虚しさ。

1997年、ダイアナ妃の葬儀の為に、バーニーが歌詞を変更し、”Goodbye England’s Rose”として再び歌われた。
これが世界的な大ヒットとなり、「史上最も売れたシングル」となったが、
エルトン自身はこの曲が商業的に消費されることを複雑な想いで見つめていた。

彼はこの曲の売り上げを全額チャリティに寄付し、
「Candle in the Wind」を単なるヒット曲ではなく、
心のこもった追悼の歌として残したのである。

この曲は、マリリン・モンローだけでなく、
名声の中で翻弄された全ての人々のための鎮魂歌なのかもしれない。