55位 ”Sad Songs (Say So Much)” (‘Breaking Hearts,’ 1984)
「クロコダイル・ロック」が
エルトンの若かりし頃のレイブアップへのオマージュだとすれば、
この陽気な1984年の曲は、
落ち込んだ時に慰めてくれるラジオの悲しい歌へのオマージュである。
“They reach into your room/Just feel their gentle touch,
「彼らはあなたの部屋に手を差し伸べてくれる。彼らの優しいメッセージをただ感じてください。」
(彼らとはこの歌を歌うエルトンであり、聴いてくれる人に対して、
君の部屋で僕は君のその悲しい気持ちを歌うよ。)と彼は歌います。
この曲は(ラッセル・マルケイが監督したビデオの場面も)、
同年のSassonデザイナージーンズのテレビコマーシャルに使われ、
歌詞は「Sad song says so much」から「Sasson says so much」にいじられていた。
エルトンがこの件で然るべき額面の小切手をもらったことを祈ろう。by – P.G.
54位 ”Elton’s Song” (‘The Fox,’ 1981)
パンクロッカーのトム・ロビンソン(ゲイを公表した最初のロックスターの一人)が
本作品の歌詞を担当。報われない愛を綴った。
(“They think I’m mad, they say it isn’t real/ But I know what I feel”).
(「彼らは私を狂っていると言い、あり得ないと言う/しかし私の正直な気持ちです」)
この切ないピアノバラードは、
エルトンの作品は何百曲もある中で
「エルトンの歌」と自らの名前を入れた作品は本作だけである。
この曲は、エルトン不在のミュージック・ビデオで特に注目された。
当時としては珍しいストレートなゲイ・ロマンスであり、
小学男子が年上男子へのざわつく恋心が
むなしく打ちひしがれている姿を描いている。
この曲もビデオも、少なくともエルトンにとっては自伝的なものではない。
エルトン自身が20代までは同性異性に関係なく、
誰に対しても性的欲求や恋愛感情を抱く事はなかったと語っている。
(恐らく初恋はバーニーであった。エルトンは性別より魂の繋がりを求めいたようだ。)
それでもこの曲はそのタイトルにふさわしい芸術的気品のある瞬間の切り取りであり、
おそらくバーニーと離れてから生まれた最高の作品であった。by – A.U.
53位 ”The King Must Die” (‘Elton John,’ 1970)
エルトンとバーニーは、
ムーディー・ブルースやエマーソン、レイク&パーマーの領域(プログレッシブ・ロック)
に入ることはあまりなかったが、
「The King Must Die」を聴くと、
もしエルトンがポップスターとしての地位を確立するのが早ければ、
オーケストレーション・プログレッシブ・ロックの作品を
1、2枚は作っていたかもしれないという事が容易に想像できる。
幸いなことに、2人はストリングスとホーンに予算をかけ
正統的な演奏に熱中していた。
「No man’s a jester playing Shakespeare/ ‘Round your throne room floor」
(宮廷道化師にシェークスピアをやる奴はいない
あなたの玉座の周りを道化師がご機嫌伺いの舞を踊る)というような歌詞も
エルトンの最も印象的なピアノでこその曲調で全体をまとめている。
お手本としたくなるような
ヒップホップ(登場人物同士の熱い戦いの表現)、
そして強烈な伏線がかかっています。by – A.U.
52位 ”Hey Ahab” (With Leon Russell) (‘The Union,’ 2010)
2010年、エルトンは同じピアノマンのレオン・ラッセルと組み、
コラボレーション・アルバム『The Union』を発表しました。
故ラッセルはジョンの初期の音楽的アイドルであり、
ブルージーな「Hey Ahab」では、
ピアノのロールからロケットマンの高揚感がにじみ出ているのが感じられるでしょう。
ゴスペル調のブルージーなロックで、
彼のセットリストの定番になっている。
是非、11月の小雨が降るような季節に、
この曲を聴いてみてください。by – J.L.
51位 ”I Fall Apart” (‘Leather Jackets,’ 1986)
エルトンのアルバム『レザージャケッツ』は、ズタボロに酷評されたアルバムでした。
この時のエルトンよりもこき下ろされたアーティストは
その前後を通して居ないのではないかと思うほどでした。
しかし、最終曲の本作 “I Fall Apart “は、
この前後10年間で最も心痛む曲のひとつであり、
星のようなシンセのきらめきとフレットレス・ベースの海の中で、
エルトンという表現者が狼狽えながら漂う、
とりわけ繊細なバラードとして印象的でした。
また、エルトン自身も、
バーニーの歌詞がエルトンの個人的な生活の中の苦悩とシンクロし、
押しつぶされそうなほど孤独だった時期と重なったと語っています。
“This house can get so lonely when the day grows dark
And it seems to be the night time when I fall apart”
「この家は日が暮れるととても寂しくなる/そして私が砕け散るのは今夜のようだ」
と私の心情を詳細に描写していることに賛辞を送った上で、
「バーニーの言葉は
私の個人的な状況を(私が)自分で話すよりも、
よく捉えてくれている」と語っている。by – A.U.
50位 ”Too Low For Zero” (‘Too Low For Zero,’ 1983)
エルトンのセカンドウェーブで成功したアルバム『Too Low For Zero』は、
そのほとんどがニューウェーブサウンドではなかった。
しかし、彼がニューウェーブの時代にも通用することを証明した。
ただし、タイトル曲は例外だった。
本作品は、ネオンカラーのシンセサイザーで覆われた小さなドラムマシンのシャッフルを中心に、エルトンとバーニーだけでなく、
ソフトセル(イギリスのシンセサイザーユニット)やOMD(イギリスのシンセポップデュオ)にも通用するような曲であった。
エルトンはバレエダンサーのようにエレクトロニックなグルーヴを弾き、
バーニーはまるで数年来の二日酔いで最も辛い時期のように、
どん底に落ちたという歌詞を書き上げた。
2人はこの曲を自分たちのものにしたのだ。by – A.U.
49位 ”Answer in the Sky” (‘Peachtree Road,’ 2004)
決まり文句のように使われる「アンサー・イン・ザ・スカイ」
「答えは空の彼方に」は宗教的ではなく、精神的なものだ。
バーニーが天空の答えを探すように彼方を見渡すのに対し、
エルトンの音楽はそれを地上の私たちの目の前に引き戻して、
リアルに表現する。
ゴスペル的な土台の上に、
コーラスで高揚感と統一感のあるポップなエネルギーを喚起するジョンは、
「Answer in the Sky」に途方もないモノへの希望と温かみを与えている。by – S.T.E
48位 ”Friends” (‘Friends’ Soundtrack, 1971)
トップ40に入ったにもかかわらず、
「Friends」は、タイトルと同じ1971年の映画と同じくらい忘れ去られている。
「ペニー・レイン」(ビートルズ)の流れを汲むこの優しく甘いオーケストラ・ポップは、
「ユア・ソング」でエルトンのキャリアが一気に上昇した直後に作られた。
本作品はエルトンジョンのバラード歌手としての優雅さと、
感傷的なメロディーを楽々と奏でる才能を示した作品である。by – J.L.
47位 ”Skyline Pigeon” (‘Empty Sky,’ 1969)
エルトンとバーニーの優秀さを世に知らしめた曲である。
本作「スカイライン・ピジョン」は、
ハープシコードとオルガンのレイヤーにのせて、
エルトンが後にチャートのライバルとなるジョン・デンバーに近いサウンドで、
当時はシンプルに鳥についての比喩を表現しただけのものに見えた。
しかし、この作品には、
何か現実的で心動かされる、紛れもなく彼らの持つメッセージが込められていた。
この実質的デビューソングがかなり控えめな商業的成功しか収めなかったにも関わらず、
エルトンとバーニーは手応えを感じ、
これ以降、自分たちのスタイルを確立することになる。
エルトンは、『Me』の中のこの曲について、
「他の誰の作品にも似ているとは思えなかった」と懐かしそうに語っている。
続けて、
「ついに自分たちだけのものを作り上げたんだ」。by – A.U.
46位 ”Bad Side of the Moon”
「Bad Side of the Moon」は、エルトンの初期のB面曲の中でも特に優れており、
ゴスペル調の「Border Song」の裏面として、
よりスリムで意表をつくような仕上がりになっている。
しかし、一般的にコアなファンにのみ愛されているこの3分間のレア曲は、
ライブで長い演奏バージョンになった際、本作の優れた潜在能力を発揮する。
90年代に再リリースされた『70年代Here and There』の2枚組にも収録されており、
1974年の2回のライブが収録されている。
ジョンだけでなく、ギタリストのディヴィー・ジョンストンも、
スタジオ・セットではめったにできないような演奏を披露し、
衝撃的な結果を残しています。by – A.U.