24個の節気の中の13番目「夏至」大体6月21日〜7月6日
72個の候の中の38番目「菖蒲華(あやめはなさく)」6月26日〜30日
※こちらの何番目という順序は古来の正月「冬至」を起点に考えております。
ご了承くださいませ。
「菖蒲華(あやめはなさく)」
菖蒲と書きますがアヤメと読みます。
菖蒲、あやめ、杜若、
パッと見ただけではわからないようですね。
これらの特徴を覚えて、
花を観察するのも楽しそうです。
さて、菖蒲は独特の形状で魅力的です。
垂れ下がった花の形は虫が止まりやすく受粉を助けてもらうために、
進化したと言われています。
葉の形は刀のように鋭く、武士の精神を象徴するものとして、
武家社会になるにつれ愛されてきました。
そして、花だけでなく茎や歯からの香るその爽やかな香りは邪気を抜く力を持つとされ、
その恩恵を最大限に引き出すために家の軒先に吊るしたり、
寝具の下に敷くといった験担ぎ(げんかつぎ)の習慣が生まれました。
聖武天皇の時代からは、
端午の節句には菖蒲が使われるようになりました。
特に男の子が健康に立派に育つよう、菖蒲を添えて祈念したのです。
そして、これらの習慣は時代を経ても受け継がれています。
菖蒲は万能薬
夏のど真ん中で、
これから日を追うごとに日照時間が短くなっていきます。
しかし、暑さはこれからです。
菖蒲は先述の形などによる験担ぎ以外にも、
多くの面で私たちに元気を与えてくれるといます。
まず、香り。
菖蒲の香りにはアザロン、オイゲノールといった成分が含まれていると言います。
これらの成分は、血行促進、疲労回復に効果があります。
また、菖蒲の根茎を乾燥させたものは「菖蒲根」という生薬になります。
香りの強いものが効き目がよいとされ、
健胃や鎮痛、鎮静に効果があるとされています。
また、それらの成分は茎や葉からも取れるということで、
日本の家庭では端午の節句に菖蒲を風呂に入れるなどしています。
この時期に菖蒲湯に入ると夏風邪、夏負け、食欲不振を防ぐと言います。
香っても、
食べても、
肌からも、
菖蒲という植物は私たちの健康をサポートしてくれるのです。
そう考えると、
「菖蒲華」という候は夏の暑さに備えることを
知らせてくれているような気がします。
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