MYショップの戦力分析

タイガーくんのお父さん（以下タイガーパパ）は
お父さん、つまりタイガーくんのお爺さんが早くに亡くなって、
中学生を出るとすぐに働きに出たのです。
タイガーパパの仕事先は米屋。
当時、一番年下のタイガーパパは先輩の使い走りになりました。
先輩は「タバコ、ジュース、お酒」など色々なものを
タイガーパパに買ってこいと言います。

しばらくすると、
タイガーパパはタバコは１カートン（10箱入り）を買うと1箱おまけ、
ジュースやお酒は飲み終わった瓶は10円、20円で買い取ってくれることを知ります。

タイガーパパはお給与でお金が貯まると、
タバコとジュース、お酒をまとめて買いました。
そして、先輩が使い走りを頼む度にそれらを販売したのです。
タバコは11箱売れる度に１箱分のお金が貯まりました。
ジュースもお酒の瓶もひと月で数百円のお金になりました。
合わせると月1000円程度でしたが、
当時のお給与が12,000円だったことを考えると、
ちょっとしたお小遣いです。

3年で50,000円ほど貯めたタイガーパパは、
給与前に金欠になる先輩達にお金を貸すようになっていました。
大体、1000円から5000円の範囲で
給与が出たら返してもらいます。
金利は５％。
1000円なら50円。5000円なら250円です。
かなり良心的に見えます。
タイガーパパには決め事があって、
お給与の半分までしか貸さないと言うものでした。
これには考えがありました。
給与と同じ額まで貸してしまうと、
お給与の際にすぐに借金する先輩が出てきてしまうからです。
先輩のほとんどはお給与後２週間過ぎから借りにやって来ます。
と言うことは、タイガーパパは次の給与までの約２週間で５％の金利を得ることになります。つまりひと月で換算すると10％の金利に相当します。

先輩は15人程度いましたので、
毎回ほぼ、タバコとお酒で貯めたお金を貸し切ることになります。
50,000円が翌月には52,500円になります。
ざっと計算すると一年後は50,000円が80､000円になるのです。
年率60％のリターン運用。
バフェットさんもびっくりです。

仕事先で貸金を始めて2年。
先輩方全員がタイガーパパのお世話になっていました。
そんな中、先輩達の間で、
タイガーパパ襲撃計画が囁かれます。
タイガーパパは「銭ゲバ」だ！
全部の借金をチャラにしろ！
そう先輩達が言い出したのです。
先輩達の不満は一気に爆発します。

「コラァ！調子に乗るのもいい加減にしろ！」
返す気のない先輩達がタイガーパパを取り囲みます。
１対15。
勝ち目はありません。
しかし、勤め始めた頃のタイガーパパも今や20歳。
立派に成長しました。
実はタイガーパパは就職する前、
相撲のスカウトが来るくらい体格に恵まれていました。
そのタイガーパパが20歳になったのです。
先輩達の誰よりも強かったです。
だから先輩達は全員でなら勝てると踏んだのです。

ところがタイガーパパは喧嘩は好きではありません。
「〇〇先輩！　今月の貸しはチャラにしますから、
みんなの分を取り立ててくださいよ！」
「ホンマか！」と〇〇先輩は、
急に反対側を向き、

「お前ら、借りたもんは返すんが筋やろが！」

と２対14になりました。
しかも〇〇先輩は働きながらボクシングジムに通って、
プロボクサーを目指してる武闘派です。
２対14と言えど、
プロボクサーと力士、
それに対して素人14人。
騒動は一気に沈静化しました。

その後、タイガーパパは潮時を感じ退職します。
そして貯めたお金で屋台を始めました。
タイガーパパは21歳で独立し、
その後、失敗と成功を繰り返しながら、
現在も多岐に渡り活躍しています。

タイガーパパはタイガーくんに、
学校、就職、どんなにええとこ行っても、
それで安心てことはないぞ！
よう就職せんと起業する人のことを「ベンチャー」とか言うやろ。
ベンチャー言うたら、
「冒険」とか見通しのたたない「険しい道」言うことや、
そう考えたら、学校行っても就職できるかわからん、
就職しても会社が潰れるかもしれん。
ほんなら、誰もがみんなベンチャーや思うた方がええんや！
だからな、タイガーよ、
人生の上で、野宿、
つまり獲物を自力で捕まえたり（営業）、
寝床作ったり（構築）、
火を扱える様に(危険の察知と回避)ならなアカンで。

タイガーくんは、
タイガーパパのベンチャー精神を学ぶべく、
ハンドメイドショップに挑戦しているのであった。