自分育て

「雪下出麦 (ゆきわたりてむぎのびる)」#3

24個の節気の中の1番目「冬至」大体12月21日〜1月4日を指します。
72個の候の中の3番目「雪下出麦(ゆきわたりてむぎのびる)」12月31日〜1月4日。

雪下出麦 (ゆきわたりてむぎのびる)

雪の下で麦が伸び始める頃、
冬の真っ只中です。

しかし、雪の下では麦が伸び始めてるんですね。
麦は稲とは逆で、秋に種を蒔き、
翌夏に収穫します。
なので、冬の寒さにとても強く、
この時期でもどんどん成長して行くのです。

皆んながこもっている中、希望の芽を伸ばす

冬至の初候、「乃東生」(なつかれくさしょうず)は、
この時期、夏枯草がこの時期伸び始めるわけでもないのに、
私たちに夏至への希望を促してくれています。
同じような意味合いの「雪下出麦」は実際に起こっている夏への希望の活動を教えてくれています。よく似た事を再三伝えてくれているのは、
冬のこの時期のスタートが一年の実りを決めると教えてくれているようでなりません。

さて、麦に関して面白い話があります。
麦は、この時期、痛めつけられると株分けが進み、夏の豊作に繋がるというのです。
霜で土から浮いてきた芽を踏みつけるこの極寒時の作業を「麦踏み」と言うようです。
まるで幼少時の躾を厳しくするみたいな感じですね!

別の見方をすると、
今年の目標に建てた計画や作品のアイデアは直ぐに満足せずに
もっとチェックして叩き上げなさいと言われている感じがしますね。

また、しっかり踏んで株分けさせた後は「麦褒め」という
習慣があったと言います。

「麦褒め」はある程度育った後、大体2月中旬ごろになると行っていたようです。
麦を使った料理でお腹いっぱい満足になった子供達に麦畑に向かわせて、
「美味しい美味しい麦さんありがとう! また麦の恵みを沢山ください!」
と行進するそうなのです。
いわゆるおまじない、豊穣の祈りですが、
心を込めて行なっていたそうです。

この効果を科学的に証明は出来ないのですが、
厳しいだけでもダメ、褒めてばかりでもダメというのを
体現しているようで、面白いなと思います。

飴と鞭

そして、私たちの作品作りでも
同じようなことをやってますよね、、、

作品を考えて、考えて、
非常に厳しい目で判断。
時にはそれまでせっかくやってきた事を全部廃棄する事もあります。
これが麦踏み。

そうして、ようやく納得できて、
作品作りが始まりました。
出来上がりの半分くらいまできたでしょうか、、、
その時の仕上がりに興奮し、自分でもまずまず満足。
いいぞいいぞ、俺は何て天才(言い過ぎ)なんだ〜、、、と独り言を言う。
これは「麦褒め」。

こんな風に、試行錯誤しながら、
作品は出来て行くのでしょうね。

12月31日から1月4日というと世間ではのんびりお正月気分です。
しかし雪下出麦では雪の下で目を出している麦、
そして麦踏という自分を律すメッセージを伝えてくれています。
今年一年がんばりますと気を引き締めたいですね。

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