旅のタイムカプセル

#2 地獄の峠越えとテレビ運び(大津〜福井)

#2-3 福井県婦人青年会館ユースとテレビ運べ妖怪

🏠 安宿のはずが……?

今日はユースホステルに泊まろうと決めていた。

ユースホステル——それは、貧乏旅行者の味方
基本はドミトリー式(相部屋)で、2食付き2200円〜2500円ほど。
夕食と朝食が腹いっぱい食べられるので、食費を考えれば破格の安さだ。

福井駅周辺には3軒のユースホステルがあった。
どこに泊まるか迷ったが、「最も近い」という理由だけで「福井県婦人青年会館ユースホステル」に決定。

着いてみると、立派な鉄筋コンクリートの建物がそびえ立っていた。
「え、これ……ユース?」

普通、ユースホステルは簡素な造りの木造建築が多い。
だが、ここはどう見ても県の施設っぽい雰囲気。
どうやら、県の行政が絡んでいるようだった。

「まぁ、泊まれればいいか」

予約なしの飛び込み宿泊。
客は少なかったようで、問題なくチェックインできた。

しかし——ここで大誤算。

「食事は付いていません」

えぇぇ!? ユースホステルといえば2食付きが基本なのに!?
確かに、その分宿泊費は少し安い。
でも、これなら別のユースに行ったほうがよかったかもしれない。

とはいえ、すでにチェックインしたし、もう移動する気力もない。
ここで泊まることに決めた。

♨️ 風呂、狭すぎ問題

気を取り直し、風呂へ向かう。
……が、驚いた。

風呂場は想像以上に狭く、すでに人でいっぱい。
これではとても入れない。

仕方なく部屋へ戻ると、意外なことに気づいた。

ポット、湯呑み、お菓子完備。
ユースホステルにこんなサービスがあるのは珍しい。
さらに、テレビがある。

(しかもお金を入れなくても見られるタイプやん!)

たまに、100円を入れないと見られないテレビがあるが、
これは普通に使える。

試しにスイッチを入れると、ちゃんと映る。

(……ここ、本当にユースホステル?)

風呂が混んでいたのでもう少し待つことにして、
お茶を飲みながら、しばしボーッと過ごす。

🚲 同じ旅人との出会い

しばらくして、再び風呂へ。
今度は誰もいなくて、貸し切り状態。
湯にゆっくりと浸かり、ようやく疲れが抜けていく。

部屋に戻ると、そこには新たな宿泊者がいた。

(あ、相部屋やったんや……)

ユースホステルなので当然だが、
てっきり今日は1人部屋だと思っていた僕は、
部屋に荷物をぶちまけたままだった。

「すいません!」

慌てて荷物を端に寄せると、相手の青年は気にする様子もなく、黙々と荷物整理をしている。
僕も気まずさから黙っていたが、観察すると明らかにサイクリストだった。

・腕にくっきり残る手袋の日焼け跡
・カバンの上に置かれたサングラス
・旅慣れた雰囲気

間違いない。

「自転車ですか?」

満を持して話しかけると、青年は軽く頷いた。

「うん、そうだけど、君も?」

「はい! どこから走ってきたんですか?」

青年の話を聞いて、僕は驚愕することになる。

彼は関東出身。
沖縄まで一気に船で行き、そこから九州を縦断、山陰、北陸を走ってきたという。
すでに2000kmを走破。

「うへーっ、すごい!」

僕はまだ、たった250kmしか走っていない。
桁違いの旅人を前に、圧倒されるばかりだった。

「どこまで行くの?」

彼にそう聞かれ、僕はとっさに答えを濁した。

「東北、かなぁ……」

本当は北海道を目指している。
だけど、まだ自信がなかった。

「行ける」と言い切ることができなかったのだ。

僕は、よく見栄を張るタイプだった。
けれど、このときは逆に、本音を言えなかった。

(自分は、果たして本当に北海道まで行けるのか?)

そんなことを考えながら、彼と情報交換を続けた。
気づけば午後8時。
腹が減ったので、外に夕食を食べに行くことにした。

🍛 夕飯とぶらぶら探索

商店街入り口にある、いかにも安そうな定食屋に入る。
腹が減っていたので、定食とうどんを食べる。
食後は、せっかくなので福井駅周辺を軽く走る。

夜の街は静かで、どこか落ち着いた雰囲気だった。
観光地というより、地方都市の素朴さが残っている。
やがて急激な眠気が襲ってきた。

「やばい、フラフラする……」

これはもう限界だ。
宿に戻り、すぐにでも布団に入りたい。

テレビ運べ妖怪登場

午後9時半、ユースホステルに到着。

玄関をくぐり、階段を上がったところで、視界の端に伸びる影が見えた。
ほぼ同時に、しゃがれた声が首元にまとわりつく。

「すまんが……ボシャボシャ……」

(ん?)

声のする方を見ると、そこには年配の管理人が立っていた。
猫背で、弱々しい足取り。
だが、彼の視線は妙に鋭く、笑っていなかった。

「すまんが、テレビを運んでくれんかのぉボシャボシャ……」

(こ、これは……!?)

『テレビ運べ妖怪』や……!!

テレビ運べ妖怪

出現場所 福井県婦人青年会館ユースホステル
属性・・・妖怪
疲れた旅人に思いブラウン管テレビを運ばせる
足腰が弱ったふりをして「ボシャボシャ」呟く。

疲れ切った旅人を捕まえて、
**「重たいテレビを運ばせる呪い」**をかけてくる妖怪……!

やはり目は笑っていない。
「人間じゃない。」
私は目の奥を凝視しようとしてやめた。
「あまり見てはダメだ….」

声を掛けられた時点ではテレビが果たしてどれくらいの大きさか分からなかったが、
お爺さんは二人で持てば大丈夫という仕草をしている。
しかし、おじいさんの動きが鈍い。足腰も弱そうでおぼつかないのだ。

一歩の歩幅が十数センチで、それもズサッズサッと引きずって歩くのだ。
おじいさんの案内でテレビのある場所に行く。
指さされたテレビは24インチのブラウン管テレビ。

そう、画面サイズに比べるとグッと重い代物だ。
おじいさんの危なっかしい足元から二人で持つ方が返って危ない気がした。
私は「大丈夫です!」と言って一人で持ち運ぶことにした。
24インチのテレビは思っていた以上にズシリと重く感じた。
「うっ!」と私は思わず声を上げて力を込める。

「さすが若いのぉボシャボシャ……」

一人でテレビを抱える僕を見ておじいさんは
笑っていない目ではあったが、ほんの少し口角を上げた。それが一層不気味だった。

こうして2日目も、体力・気力ともにギリギリで終了。
あと何回、こんな試練を乗り越えることになるのか…この時の僕には、まだ知る由もなかった。
「布団に入る直前、耳元で『ボシャボシャ…』が聞こえた気がした…」
私はおじいさんの気配を断ち切り、泥のように眠った。

16歳の僕と56歳の俺の反省会

16歳の僕
「いやぁ、この日も大変でしたー!水筒は2本用意しても良かったな。こんなに水飲むとは思わんかった。一日10リットル以上飲んでました。」

16歳の僕
「はい。水筒も大変でしたけど、やっぱり地図ないのはダメですね。地図がある地点に入ってから安心感が全然違いましたもん。」

16歳の僕
「とにかく、2日目も無事終了!最後のテレビ運日はキツかった!」

16歳の僕
「言われてみれば…。もうこいつしかおらん!って感じで頼まれましたよ!」

16歳の僕
「そうでしょうか…。まぁ、でも勉強にはなりました。でも次こそは、少し楽な日があってもいいですよね?」

▶ 16歳の僕
「えっ!?…ちょっと待って、まさかまた妖怪出るんじゃ…?」

  • 「今までで一番『変な頼まれごと』をされた経験って何ですか?」
  • 「妖怪としか思えないような変な人に出会ったことありますか?」

コメントでぜひ教えてください!😊

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