銀行難民 〜 俺のお金、どこでおろせる?
朝食を終え、妙智寺ユースを出発してしばらく走ったところで、ふと気づいた。
(あれ? 俺、あといくら持ってたっけ?)
財布を取り出して確認する。
「……3,000円。」
(やばい、今夜の宿代と飯代で終わるやん……!)
焦りを感じつつ、柿崎という街に入ったところで、銀行を見つけた。
「よし、ここでお金を下ろそう!」
颯爽とATMにカードを突っ込む。
「こちらのカードはご利用できねーがや。」
(えっ?)
まるで「あっかんベー」と言わんばかりに、ATMはカードを吐き出した。
もう一枚のカードを入れる。
「ご利用できねーがや。」
(なんで!?)
訳が分からず、窓口へ。
すると銀行員が申し訳なさそうに説明してくれた。
「都市銀行のカードは、地方銀行では使えないがや〜。」
(都市銀行……地方銀行……? そんな区別あったんか!?)
要するに、僕が持ってきた大和銀行と住友銀行のカードは「都市銀行」専用。
ここは北陸銀行。地方銀行だから、使えないと言うのだ。
(初耳! 俺、終わった……)
今日の食事代どころか、今夜の宿代すら危うい。
こうして僕の旅は、**「都市銀行を探す旅」**へと変わった。
どこに行けば「都市銀行」はあるのか?
16歳の僕には、「都市銀行」の定義が分からない。
「都市って、どのレベルから都市なん?」
柿崎の次に大きな街は柏崎。
地図を見ても、柿崎よりは栄えていそうだ。
「よし、とにかく柏崎に行って探そう!」
必死に銀行の看板を探しながら進む。
しかし、どこまで行っても「北陸銀行」「第四銀行」「越後銀行」ばかり。
(いや、そうじゃなくて……俺が求めてるのは、もっとこう……東京にありそうなやつ!)
そして、ようやく柏崎駅に到着。
ここならさすがにあるはず!
「すみません、都市銀行ってどこかにありますか?」
近くにいたおじさんに尋ねる。
おじさんは、布袋様のように福々しい顔でニッコリ笑い、
「あぁ、あすこにあったろも!」
(やった!!)
さらに、おじさんはわざわざ案内してくれるという。
僕は希望を胸に、おじさんの後を自転車を押しながらついて行った。
連れて行かれたのは「ダメな銀行」だった。
曲がり角をいくつか抜け、ついに銀行の看板が見えた。
……そこには、堂々と書かれていた。
「北陸銀行」
(あっ……これ……ダメな銀行やん。)
絶望する僕をよそに、おじさんは満面の笑みで、
「ほれ、ここら!」と誇らしげに指差した。
(いや、違うんです布袋さん……! 俺が探してるのは、そうじゃなくて……!)
導きの布袋
出現場所 柏崎市街 |
属性・・・神 |
特技・・・癒しの笑顔で道案内。時々間違うのが玉に瑕。 |
口癖・・・「あぁ、あすこにあったろも!」「ほれ、ここら!」 |

でも、おじさんの顔を見ると、とても「ここじゃないです」と言えない。
わざわざ時間を割いて案内してくれたのだ。
(……これはもう、入るしかない。)
僕は何も言わず、ATMの列に加わった。
ガラスの向こうで布袋さんは満足そうに頷いている。
(すみません、本当はここじゃダメなんです……でも、ありがとうございました。)
心の中で感謝しながら、深々と頭を下げた。
おじさんが去ったのを確認して、そっと列を抜ける。
残る希望は、新潟。
柏崎で「都市銀行」は見つからなかった。
となると、次の都市は……新潟しかない。
新潟までは、約90km。
今の時刻は午前10時。
銀行の営業時間は午後6時まで。
「絶対に間に合わないとヤバい……!」
唯一の希望は、新潟が新幹線のある街だということ。
「新幹線があるってことは、それなりに都会なはず……!」
「まさか、新幹線が止まる街に都市銀行がないなんてことは……」
(いや、ない! ないはずだ!)
僕は決意した。
午後6時までに、何が何でも新潟に到着する。
「銀行が俺を待っている!!!」
次ページ:「海沿いルートで新潟を目指す!」へ続く……!)