海沿いルートで新潟を目指す!
新潟を目指し、国道8号線を走る。
しかし——
「うわっ、排気ガス!!」
わざとではないかと思うほど、通り過ぎざまに浴びせられる黒煙。
その都度、顔を背け、咳き込みながら前に進む。
(これはたまらん……)
少しでも交通量の少ない道を求め、116号線へ。
しかし、ここもなかなかの車の量だった。
そこで、出雲崎からさらに海沿いの道へと進路変更。
ようやく、心地よい潮風が肌を撫でる。
「はぁ〜、生き返る……」
新潟は田舎だと勝手にイメージしていたが、
道路の幅や交通量を見ていると石川や富山よりも全然都会だ。
お米の看板がやたらと多い。
この「新潟=米所」という先入観が勝手に田舎を思わせていたのだろう。
長閑な田んぼ地帯を想像していた僕は交通量の多さに愕然とした。
海沿いは風が心地よく真夏でも身体が癒される。
落水、寺泊、時折見える海水浴場で遊ぶ人々の姿が羨ましい。
「カニ」と大きな看板も見られる。
腹が減った私は昼食を取る事にする。
新潟に6時までに行けなかった時に備えて念の為、パンだけにした。
本来現金があれば普通にほかほかの弁当、定食が食べたかったけど、仕方がない。
1時過ぎ、新潟市に入り。
2時半、信濃川を渡る。
越後七浦を越えたと思ったら、直ぐに越前浜、
越前というと福井のイメージだったが、こんな所に越前の文字。
3日掛かって走ったハードなルート、しかしまだ越前と思ったら急に進んでいないような気がしてどっと疲れが込み上がる。
そして、新潟市中心部が近づくにつれ、案内標識がややこしくなってきた。
「新潟 〇〇km」の看板を見ても、旧県庁と新県庁があるらしい。
(どっちに行けばええねん……!)
先に銀行に行こうと思ったが、まだ午後3時前。
それならば、まず今夜の宿を確保してしまおう。
目指すは「日和山ユースホステル」。
海水浴場のすぐ近くにあるらしい。
だが——
「え、どこ???」
ユースホステルハンドブックの地図が、絶望的に雑。
方向すら明記されておらず、目印が「タバコ屋」「商店」など、地元の人向けすぎる。
(これ、昨日の「るらっるらっ女」の寺ユースの時と同じ人が作ったやろ……!)
嫌な予感がする。
地元の人に聞いてみても、誰もユースの存在を知らない。
(おかしい、そんなことある!?)
同じ道を行ったり来たりしながら、完全に迷子。
仕方なく、もう一度地元の人に聞くことにした。
ただし、誰彼構わずではなく、慎重に**「道を知っていそうな人」**を選ぶ。
そしてついに、僕は見つけた。
「あの人だ!!」
白い髭をたくわえた、威厳ある風格の老人。
油切れ気味の実用車にまたがり、ゆったりとペダルを漕いでいる。
「道案内の翁」——彼ならきっと、知っているはずだ……!
次ページ:「仙人のごとき導き!」へ続く……!)