旅のタイムカプセル

#5 日和山般若の恐怖─そして守護神欽ちゃん布団(柿崎〜新潟)

仙人のごとき導き

「すみません! 日和山ユースホステルってどこですか?」

「うーん……」

翁はしばらく目を閉じ、ゆっくりと考え込んだ。

(……脳内で、昭和初期からの地図データを再生しているのか!?)

数秒後——ゆっくりと目を開き、ひとこと。

「口で説明するのは難しい。ついて来い。」
(うおおおお!! ありがとうございます!!!)

僕は「道案内の翁」の後を追った。

道案内の翁

出現場所 新潟市街
属性・・・神
「ギーコギーコ」実用一点張りの自転車で現れ、的確な道案内をする。正体は「白色尉 (はくしきじょう)」でパワフルな神。
特技・・・正確無比な道案内。

「ギーコギーコ……」
「ギーコギーコ……」

静かに、しかし力強く、翁はペダルを漕ぐ。
道は入り組んでいた。
まるで迷路のように細い路地を抜け、予想以上に遠い距離を進む。

(これは……説明されても無理だった……)

そして午後3時20分。

「ここじゃ。」

——日和山ユースホステル、到着。
(すごい!! 本当に一度も迷わなかった!!)

翁は僕を見て、ニヤリと笑った。

「ここまで来たのはいいが……今度はワシが帰れるかのぉ?」
(翁〜〜〜!!!😭)

「道案内の翁」は、自分の来た道を忘れたかのように、とぼけた顔をして去っていった。

なんとも親切で、なんとも愉快な、頼れる翁だった。

お清めの儀

宿に着いたら、まずは宿泊手続きを済ませる。
受付には50代くらいのおばさんが座っていた。

「はい、1700円、ポン!
(……ポン?)

聞き間違いかと思ったが、確かに「ポン」と言った。
しかも口ではなく、どこかから発せられる軽快な音のような……。

(ま、まあいいか……)

気にせず、僕は銀行の場所を尋ねた。
「駅前に行けばいくらでもある。ポン!
続いてお風呂のことを聞くと、宿には風呂がなく、提携している銭湯に行くシステムらしい。

「宿泊者は無料!ポン!

「ポン」「ポン」「ポン」……やっぱりおかしい。
これはおばさんの口癖なのか、それとも……。

だが、そんなことよりもまずは銀行だ。
次いで、忘れた風呂道具を買い、最後に銭湯へ。
このルートで動くことにして、宿を飛び出した。

「ポン」より大事な、都市銀行ミッション完結!

駅前に着くと、すぐに見つかった。
「住友銀行 新潟支店」——都市銀行だ!!
(やっと……やっとお金が下ろせる!!)

ATMにカードを差し込む。
画面に表示される「お取引内容をお選びください」の文字。
長かった……この「お取引内容」までの道のりが、長かった……。
(キャッシュカードのありがたみを、これほど実感したことはない……!)

無事にお金を引き出し、僕はしばらく座り込みそうになった。
(ふぅ……これで、今日は飯が食える……!)

新潟の湯で、心身ともに清められる

次に、忘れた風呂道具を買い、提携の銭湯へ向かう。
ここはなんと温泉だった。
しかも客が僕以外、誰もいない。

「やったー!貸切だー!!」

広々とした湯船。
ゆらめく湯気。
(贅沢すぎる……!)

しかし、油断は禁物だ。
お清めの儀は慎重に行わねばならない。

まずは掛け湯、そして身体を軽く洗い、髪を洗う。
続いて、ゆっくり湯に浸かること5分。
皮膚が柔らかくなった頃合いを見計らい、再び身体と頭を洗う。
(1度目とは泡立ちが違う……!)

旅の汚れ、汗、疲れ。
すべてが湯とともに流れていく。

「お清め、完了——」

風呂から上がると、まだ午後5時。
日が高く、まだ明るい。
(このまま街に出て、新潟の街を見物しようか……?)

……いや、今日はやめておこう。
せっかく清めた身体が、また排気ガスと汗まみれになるのは嫌だ。
僕はまっすぐ、日和山ユースへ戻ることにした。

(次ページ:「日和山ユースの怪—日和山般若と小べしみの巣窟」へ続く……!

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